“売る・持つ・買い増す”の分岐点──物件評価をどう読み解くか

不動産投資において、保有する物件を今後どうすべきかという判断は、多くのオーナーが直面する分岐点です。特に所有から数年〜10年以上経過した物件では、売却・保有・買い増しの3つの選択肢で悩むケースが見られます。
こうした選択肢を判断する上で重要になるのが、物件評価です。この記事では、物件評価の読み解き方や、今後の不動産戦略をどのように考えていくべきか、分かりやすく解説します。
不動産投資における物件評価の重要性

不動産投資の成果を大きく左右するのが物件選定です。物件評価とは、物件選定における価格の根拠となるものであり、投資全体のリスクとリターンを見極めるのに欠かせないほど重要です。
不動産初心者ほど、物件の売価が安いだけで「お得」といった誤解を受けやすく、適切に物件評価を考えないと、思わぬ失敗に繋がりますので注意してください。物件評価では現時点の市場価値だけでなく、将来的な値上がり益や賃貸収入も加味する必要があります。
また、物件評価はエリアによって大きく変わるといった特徴があります。例えば東京都内であれば、練馬区や板橋区はこの10年で約25%〜30%の上昇が見られ、荒川区や台東区は60%弱の上昇が見られます。
不動産会社は、過去のデータや将来の都市開発計画、交通網の整備、人口の増減などをもとにエリアごとの物件評価を行っています。物件単体ではなく、「そのエリアが今後どのように変わっていくか」「収益性が維持されるか」という視点を持つことが、長期的な投資成功を左右します。
「売る・持つ・買い増す」の選択肢

物件を売却すべきか考える際、気をつけておきたいのが「譲渡所得税」です。もし購入価格よりも高く物件を売却できた場合は、売却益に対して課税される税金であり、保有期間が5年以下なら約39%、5年超なら約20%の税率になります。
税率の設定から考えても、まず5年を経過してくると物件の売却を考え始めるタイミングと言えます。
特にローンで物件を購入している場合は、ある程度残債を減らしてから売却しないと損失が出ることもあるため、現実的には10年を経過するタイミングが損益分岐点になると言われています。
長期保有のメリットとしては、売却時の税率が下がるだけでなく、安定した家賃収入とローン返済の進行による資産形成が挙げられます。一方、築年数が進行して賃料が下がったり、修繕コストが増加するといったデメリットがあります。
特にRC構造の物件は、木造よりも耐震性や防音性に優れていることに加え、修繕スパンが長いため、長期保有に向いています。中でも単身世帯向けの1Kタイプは需要が堅調かつ流動性が高いこともあり、出口戦略が立てやすいのが特徴です。
もし売るのはまだ早いと感じている場合は、買い増しを視野に入れるのも一つの選択です。例えば、最初の物件を5〜7年ほど保有していて損益分岐点に近づいているのであれば、次の物件を持つことで、ポートフォリオ全体の収益バランスが取れるようになります。
実際に、物件を買い増して収益を上げる方が合理的と考える投資家は少なくなく、資産拡大を狙う上で「持ちながら攻める」戦略は、将来的に大きな利益に繋がる可能性があります。
投資の最終的な成果は、どこで利益確定するか。つまり出口戦略で決まります。現在の収支だけでなく、将来の相続や資産移転も見据えた計画を持つことを意識しましょう。
買い増しは“戦略の一部”で考える

不動産の買い増しは、勢いや感覚ではなく戦略的に行うことが大切です。たとえ現状はキャッシュフローがマイナスでも二軒目、三軒目と買い増すことで、将来の資産形成や出口戦略の選択肢が広がります。
また、金利が低いうちにローンを活用すれば、レバレッジを効かせた資産形成も可能になります。中長期的に資産形成を強めるためにも、買い増しを「投資ポートフォリオの一手」として計画的に組み込むことが重要です。
買い増しを考える際は、同じ区内でも立地によって投資効率が異なる点に注意してください。
例えば同じ区内でも、駅の近さや建物管理会社によって入居率に大きな差が生まれることもあります。
そのうえで、トラスティーパートナーズがご紹介している物件は、将来の資産価値を守れる物件のみを厳選して仕入れから販売までを行っております。
さらに、買い増しして複数物件を持つことがリスク分散に繋がる点も認識しておきましょう。エリアや構造、ターゲットの違いを意識してバランスを取ることで、景気変動などのリスクに強いポートフォリオを組めるようになります。
買い増しの判断は、収益の最大化だけでなく、資産を守る観点でも重要です。今の一軒に満足するのではなく、次の一手を打てるかが10年後の結果を大きく分けることになるでしょう。