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makeA事務局
2026/01/12 11:55

“日銀の正常化”はどこまで進む?──金利と不動産の最新相関を読む

2024年に入り、日銀が長年続けてきた「異次元緩和」からの転換を本格化させました。マイナス金利政策の解除を経て、市場では「次の一手」に注目が集まっています。

一方で、金利上昇が続く中でも賃貸市場は安定しており、不動産価格も大幅な下落には至っていません。

今回は、政策と金利、そして不動産の関係を整理しつつ、いま不動産オーナーが何を知っておくべきかを解説していきます。

正常化の流れは止まらない──日銀政策と市場が見ている“次の一手”

日銀がマイナス金利を解除した背景には、物価・賃金・為替の3つの動きがあります。

まず、円安基調が長期化したことで、輸入コスト上昇による物価上昇が定着しつつあります。また、大企業を中心に賃上げが進み、名目賃金が前年比で上昇傾向にあることも「金融緩和の出口」を後押ししました。

一方で、日銀は急激な引き締めを避け、長期金利の水準よりも安定性を重視しています。これは、金利変動によって企業の設備投資や住宅ローン市場に混乱を招かないようにするためです。 

市場の注目は、今後の追加利上げよりも「どの水準で安定させるか」に移りつつあると言われており、金融市場もその落ち着きを織り込み始めています。

マイナス金利解除後も、住宅ローン金利は緩やかな上昇にとどまっています。

この背景には、銀行間での競争や、国債利回りが大幅に上がっていない現状があります。そのため、借入環境が急に悪化するようなリスクは限定的で、金利が上がったからといって即リスクになるというわけではないと認識しておくと良いでしょう。

金利上昇が不動産市場に与える影響──“価格”より先に動くポイントとは?

金利の上昇は、理論的には不動産価格に下押し圧力を与えます。しかし、実際の市場では、価格よりも先に取引量が動く傾向があります。

金利が上がる局面では、買い手が様子見に回ることで一時的に成約件数が減少しがちです。ただし、価格自体が急落するわけではなく、むしろ実需の強いエリアでは価格が底堅く推移するのが現実です。

特に東京23区や横浜・川崎などの都市部では、単身世帯・共働き世帯の増加により賃貸需要が安定しています。こうした「実需のあるエリア」では買い控えが起きにくく、むしろ一時的な価格調整が新規購入の好機になることもあります。

つまり、金利上昇は必ずしもリスクではなく、市場が健全化する過程と捉えることもできるのです。また、価格と並んで注目すべきなのが、家賃相場とのバランスです。

家賃が上昇基調にあるエリアでは利回りの維持ができ、長期保有の安定性は高まります。賃貸需要の底堅さは価格の下支え要因となりますので、繰り返しになりますが、金利が上がるからといって、不動産価格が下がるとは言えません。

一方で、郊外や供給過多のエリアでは注意が必要です。

新築マンションの販売数が多い地域では、価格調整がやや早く出る可能性があります。ただし、これは局地的な現象であり、全体の市場を左右するものではありません。

長期的には需要と供給のバランスが取れる方向に進むと見られており、焦って売却や借り換えを検討する必要はないと言えます。

オーナーがとるべき戦略──金利上昇局面での“守りと攻め”の見極め

金利上昇局面で最も重要なのは、動かない勇気を持つことです。借入金の返済額や金利負担の変化を冷静に把握しつつ、過度な不安から短期的な判断をしないことを心がけましょう。

現時点では、金融機関も金利上昇を織り込んで慎重に対応しており、返済負担が急増するような状況ではありません。むしろ、このタイミングで自分の資産全体を整理し、借入金の棚卸しを行うことが有効です。

返済スケジュールや利息支払いを見直すことで、将来に向けたキャッシュフローの安定化が図れます。

また、市場がやや落ち着きを見せる局面では、価格調整が起きやすい狙い目の時期が訪れることもあります。短期的な価格の上下ではなく、長期的に需要が見込めるエリアに目を向ければ、堅実な資産形成が可能です。

都心や主要駅近エリアの物件は依然として人気が高く、金利上昇局面でも価値が大きく下がりにくい点は変わりません。

そして、もう一つ意識したいのが出口戦略を早めに考えておくことです。

これは「今すぐ売る」という意味ではなく、将来どのタイミングで、どんな目的で売却するかを明確にすることを指します。目的を整理しておくことで、価格変動に一喜一憂せず、戦略的に保有を続けることがでるでしょう。

今の市場は異常ではなく、正常化への過渡期と捉えることができます。金利上昇もその一部であり、景気の回復と並行して起きている健全な動きです。

したがって、不動産オーナーにとって最も重要なのは、焦らず市場を俯瞰する視点を持ち、長期的に資産を育てる姿勢を維持することです。

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