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2025/04/11 18:26

AIファンドの投資戦略と今後のトレンドについて【後編】

OpenAIのChatGPTやGoogleのGeminiといったLLMをはじめ、今をときめくと言っても過言ではないAI。そんなAIに注力する銘柄に投資する投資信託がAIファンドです。

今回は後編として、AIファンドの運用や管理、そして近年注目の集まっている「グローバルAIファンド」などについて解説します。

 

<関連記事>AIファンドの投資戦略と今後のトレンドについて【前編】

 

AIファンドの運用と管理

 

投資信託には必ず「ファンド運用会社」が存在します。運用会社の役割としては、大きく分けると以下のようなものが挙げられます。

 

  • 投資信託の設定
  • 投資信託約款や目論見書の作成
  • 信託財産の運用指図
  • 運用報告書の作成
  • 収益分配金や償還金の支払い

 

このように、ファンドがどういった投資信託を運用していくかを設計していくため、AIファンドにおいては、ファンド運用会社が「どの会社がこれからAIの分野で売り上げを伸ばしていくか」を見定める役割を担っていると言えます。

AIはNVIDIAやMicrosoftなど誰もが知るような大企業だけでなく、設立間もないスタートアップが急速に台頭してくることも珍しくありません。

AIファンドの運用会社は、自社が運用する投資信託のパフォーマンスを最大化し、投資家から投資してもらうことをミッションにしているため、AI銘柄を見極め、投資ポートフォリオを最適にしていくことが求められます。

また、個社別の銘柄の業績や技術革新を見極めるだけでなく、そもそもファンドをどのように運用していくかといった、運用戦略についても決めていく必要があります。

ファンドの運用戦略としては以下のようなものが挙げられますので、参考程度に認識しておくと良いでしょう。

 

  • 株式マーケットニュートラル戦略:ロングとショートをほぼ同量保有し、市場変動リスクを抑制する
  • イベントドリブン戦略:企業の合併買収や、倒産など企業イベントに焦点を当てる
  • オルタナティブ投資戦略:伝統的な株式や債券以外の市場に投資し、収益向上やインフレ対策、リスク分散など安定性を目指す

さまざまな戦略がありますが、基本的にAIは新興技術に分類されるため、ハイリスクハイリターンを狙うような投資戦略になるケースが多いと考えられます。

それぞれのAIファンドがどういった戦略で、どのような銘柄を組み入れて運用していく戦略を取っていくかは、運用会社が作成する「目論見書」に記載されています。

投資家が投資信託を購入する際はこの目論見書の確認が必須となりますので、投資を考えているAIファンドの目論見書を必ず確認するようにしてみてください。

 

グローバルAIファンドの概要と特徴

 

AIファンドはいくつかありますが、三井住友DSアセットマネジメントが運用する「グローバルAIファ

ンド」は、運用から5年が経過し、好調なパフォーマンスを発揮している点が特徴です。

本ファンドの特徴としては以下が挙げられます。

 

  • 「AI銘柄」を「AI活用企業」「AI開発企業」「AIインフラ企業」の3つに分類し、AIの成長ステージに合わせてバランス良くポートフォリオを構築
  • AI銘柄だけでなく、足元のパフォーマンスを最大化するために高成長企業に投資することで、安定的なパフォーマンスに繋げる
  • 積極的な銘柄入れ替えでパフォーマンスの向上に繋げる
  • 高成長の中小型銘柄に積極投資

これらの特徴もあって、グローバルAIファンドは積極性と堅実性によって成長を続けており、積み立て総額590万円に対してインデックス評価額は916万円の中、本ファンドの評価額は1,418万円と、大きな躍進を遂げているとされています。

このように、成長著しいもののリスクも付きもののAIだからこそ、運用設計を行うファンドが重要な役割を占めているとともに、投資を考える際はファンド運用会社も選ぶといった意識を持っておくと良いでしょう。

 

海外市場におけるAIファンドの動向

 

これからAIファンドに投資をしていくのであれば、海外市場においてどこがAIの技術進化に積極的なのかを抑えておくことが大切です。

総務省が2024年に公表した「AIをめぐる各国等の動向」によれば、新たに資金調達を受けたAI企業数のトップはアメリカであり、数にして897社です。2位は中国で122社であることから、いかにアメリカがAIに対する投資に積極的かが分かるのではないでしょうか。

そのため、AIファンドに投資をする、ないしAI銘柄に投資をするという場合は基本的にアメリカに投資するケースが多くなります。

海外の銘柄に投資をする際は、個別銘柄やファンドの値上がりだけでなく、為替の変動も組み入れる必要がありますので注意が必要です。

もしリスク分散をしたいのであれば、アメリカだけでなく中国や欧州などさまざまなAI銘柄に分散投資するのも良いでしょう。

 


 

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