AIファンドの投資戦略と今後のトレンドについて【前編】

今や我々の生活の一部ともなろうとしているAI。LLM(大規模言語モデル)に始まり、画像生成から動画制作など、さまざまな領域でAIの進化が止まらなくなってきています。
そしてAIは投資の世界においても頭角を現してきています。「AIファンド」は、AIを活用して運用される投資信託のことを指し、誰でも簡単に投資の世界に足を踏み入れることが可能です。
そこで今回は、AIファンドの投資戦略や今後のトレンドについて、前編後編に分けて解説していきます。
AI投資信託のしくみと特徴
AI投資とは、市場の変化を始めとしたビッグデータをもとに、市場のトレンドを予測するAIをベースに投資をしていく手法であり、主に投資信託で活用されています。
従来の投資信託は、投資資金を預かったファンドマネージャーが、独自の知識や投資理論に基づいて運用を行っていましたが、AI投資信託はAIが投資判断やアドバイスを行うといった違いが見られます。
AI投資信託とは、そんなAI投資の仕組みを活用し、投資家がAIのアドバイスを受けながら資産形成を進めていくことが可能となっています。具体的なAIの仕組みについては、運用会社によって非開示であることがほとんどです。
なお、AI投資信託はしばしばロボアドバイザーと混同されることもありますが、厳密に言うとこれらの仕組みは異なります。
ロボアドバイザーは、あらかじめプログラムされた独自のアルゴリズムに基づいて、最適なポートフォリオを維持するように運用する投資方法です。
一方、AI投資(AI投資信託)はAIの技術を用いてデータを分析し、将来予測される市場の変化から投資を行う方法であり、ロボアドバイザーには用いられないAIが導入されている点が違います。
また、AI投資信託は、AI関連の銘柄に投資する投資信託のことを差す言葉でもあります。
AI銘柄は株価の増減がインデックス指数に比べると大きいため、リスクとリターンの両方が大きいといった特徴が見られます。
AIファンドの評価と評判
AIファンドはAIに関連する銘柄に投資・運用する投資信託を意味します。運用自体は従来のファンドと同じく、ファンドマネージャーが行っているケースが大半であり、AI関連銘柄への分散投資を手早く行いたい投資家にピッタリなファンドと言えます。
しかし、AIファンドの評判は必ずしも良いとは言えないのが現状です。例えば、三井住友DSアセットマネジメントが運用会社を務める「グローバルAIファンド」は、AIブームの影響もあり、高いパフォーマンスで評判を集めていました。
しかし、過去はSDGsやDXなど、AIファンドのような特定テーマで運用するファンドは、そのブームが去ると運用成績も伸び悩んでしまう傾向にあるため、長期運用には向きません。
事実、先ほど触れた「グローバルAIファンド」についても、2026年9月25日には運用終了する予定となっていますので、長期運用をすることが物理的にできないのが現実です。
また、AIファンドはインデックスファンドと異なり、運用会社が自社で銘柄の入れ替えを行うなど手間がかかっていることもあり、販売手数料や信託報酬が他のファンドに比べて高いといった実態も見られます。
投資戦略にもよりますが、基本的に投資をする上での販売手数料や信託報酬といったコストは、低ければ低いほど最終的な投資効果は最大化できるため、リターンを見込む難易度が高いといった特徴もあります。
これらのことから、AIファンドは長期分散投資を考える投資家からは評判が良いとは言えません。
また、AIファンドの構成銘柄を見てみても、結局はアメリカの有名企業を組み入れただけというケースもありますので、盲目的に「AIに投資したいからAIファンドに投資しよう」と考えることは避けておいた方が良いでしょう。
AIファンドの今後の見通し2025
AIは確かに今後も進化が予測される領域ですが、結局のところAIはどこまで行ってもツールにすぎません。そのため、AIというツールを使ってどの企業がビジネスを発展させていくかといった観点で投資戦略を考えていくことが良いでしょう。
また、AIに踊らされることなく、「長期・分散・積み立て」という資産形成をする上での王道を守り、着実に資産を積み上げていくといった戦略を持ち続けることも大切だと言えます。
「AIのリターンが大きい」「今度はXXの国が伸びていく」など、投資の世界においてはさまざまな噂や意見が飛び交いますが、堅実に資産形成を進めていきたいのであれば「自分が説明できないものには投資をしない」といった判断をすることもおすすめです。