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makeA事務局
2025/12/07 11:57

2026年の市場はどう動く?──金利・景気・政策から読む不動産の行方

2025年の終盤を迎え、「来年の市場はどう動くのか」を意識し始めた方も多いのではないでしょうか。

金利や景気、政策の変化が不動産市場に影響を与えるのは確かですが、目先の動きだけを見て判断するのは危険です。むしろ、こうしたマクロの変化を長期的な視点で受け止められるかが、資産運用の安定を左右します。

この記事では、2025年の経済トレンドを振り返りながら、2026年に向けた不動産市場の見方を整理します。

2025年の経済トレンドを振り返る

2025年は国内経済が緩やかな回復基調を見せた一年でした。

コロナ禍後の需要回復や企業の設備投資の増加を背景に、景気は全体的に堅調に推移。これに伴い、金利もわずかに上昇しました。日本銀行による緩やかな金融政策の修正は、急激な引き締めではなく、「経済が正常化していく過程での自然な調整」として受け止められています。

金利上昇を“リスク”と捉える向きもありますが、実際には景気回復の裏付けでもあり、健全な成長局面の一部といえます。

一方、物価や賃金の上昇が進んだことも2025年の特徴でした。

エネルギーや生活必需品の価格上昇は負担感を与えつつも、企業収益の改善や賃金引き上げによって消費は下支えされ、結果として、緩やかなインフレと安定した雇用という、経済の底堅さが見られる一年になったと言えるでしょう。

金利上昇が不動産市場に与えた影響も大きな混乱には至っていません。

確かに一部ではローン負担の増加が見られましたが、賃貸市場は堅調に推移。特に都心部を中心に、単身・共働き世帯の増加や企業の都心回帰の動きが続き、「実需に支えられた安定市場」という姿が浮き彫りになりました。

投資用不動産においても、表面利回りよりも「需要の確実性」を重視する傾向が強まり、健全な投資環境が形成されたと言えます。

政策・人口動態が支える“不動産の実需”

不動産市場の根幹を支えるのは、景気や金利だけではありません。政策と人口動態の変化も、長期的な市場の安定性を左右する重要な要素です。

政府は引き続き都市再開発を推進していて、再開発エリアの整備や駅周辺の利便性向上が進んでいます。こうした流れは“都心回帰”の動きの継続に繋がり、賃貸・売買双方の市場を安定的に保つ役割を果たしています。

また、単身世帯や共働き世帯の増加も安定需要を支える柱です。単身世帯の比率は上昇を続けており、1R・1Kなどの単身向け物件は長期的に高い入居率を維持しています。

加えて、共働き世帯の増加により、職住近接を重視した都心部の住まいのニーズが高まっています。これらの傾向は一過性ではなく、今後も人口構造の変化とともに続く可能性が高いと言えるでしょう。

さらに、2025年以降は外国人労働者や留学生の受け入れ拡大が市場を下支えしています。入国制限の緩和により都市部の賃貸需要が再び活性化し、特に都心の中堅エリアや郊外のアクセス良好な地域では賃貸需要の維持に繋がりました。

つまり、政策と人口動態の両面から見れば、日本の不動産市場は依然として実需に裏打ちされた安定市場と言えます。

短期的な金利変動に惑わされず、住まいの需要が続く地域に資産を持ち続けるという考え方こそが、今後の長期運用において最も意識すべき判断軸といえるでしょう。

2026年を見据えて意識したい“長期安定運用”の視点

2026年に向けてまず意識したいのは、短期的な変化に左右されない姿勢です。金利の上昇や市場の一時的な調整は、長期スパンで見ればごく自然なサイクルの一部に過ぎません。

むしろ、不動産の価値は時間をかけて育つ資産であり、安定した賃貸需要がある限り、保有を継続すること自体が最大のリターンを生み出します

物件の価値を見極めるうえで重視すべきは、数字ではなくエリアと需要の強さです。表面利回りや一時的な査定価格の変動に捉われるよりも、その地域にどれほどの実需があり、将来的に人が住み続ける街であるかを見極めることが重要です。

都心へのアクセス、生活利便性、再開発計画などの要素を総合的に判断し、長期的な視点で資産を守る意識を持ちましょう。

また、定期的に市況を把握することも欠かせません。賃貸動向や新築供給の状況、政策の変化を確認しながら、安心して保有を続けるための判断軸を更新していくことが、将来的なリスク軽減に繋がります。

2026年は、景気の持ち直しと構造的な実需が入り混じる安定成長期に入ると予想されています。だからこそ、焦らず腰を据えて資産を育てることが何より大切です。

数字だけに反応するのではなく、「エリアの強さ」と「需要の持続性」という本質を見極める姿勢が、これからの時代の不動産オーナーに求められる視点と言えるでしょう。

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