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2025/02/27 19:25

2025年問題を乗り越える!資産形成で備える未来へのステップ【後編】

前編では「2025年問題」の背景や、それに対応するための資産形成の必要性について解説しました。後編では、2025年問題が社会全体に与える影響をさらに深掘りし、フランスやスウェーデンといった高齢化社会への対応に成功した国々の事例を紹介します。

 

前編はこちら→

 

2025年問題が社会に与える影響

 

2025年問題は個人の生活だけでなく、社会全体にも深刻な影響を及ぼします。その具体的な影響をみていきましょう。

 

医療・介護システムへの負荷増加

 

2025年には団塊の世代が全員後期高齢者(75歳以上)となり、医療や介護の需要がピークに達すると予測されています。この結果、医療機関や介護施設の不足が顕著化し、人手不足もさらに深刻化するでしょう。特に地方では、人口減少により介護施設が存続できない地域も増えるとされています。

この問題を解決する方法として、医療・介護・予防・生活支援・住まいが一体となった「地域包括ケアシステム」の整備が求められています。このシステムの構築により、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できる環境を整え、地域全体で支える体制を強化します。

 

社会保障費の急増

 

高齢化の進展に伴い、年金や医療費、介護費用といった社会保障費が膨れ上がることが予測されています。2025年には、国の財政に占める社会保障費の割合がさらに増加し、政府は現役世代からの税収の増加や制度改革を迫られる状況です。

すでに一部の後期高齢者の医療費負担が1割から2割に引き上げられるなど、公平性を図る一方で、現役世代の負担軽減が重要な課題といえるでしょう。

 

経済活動への影響

 

現役世代の人口減少は労働力不足を引き起こし、経済成長の鈍化につながる恐れがあります。

高齢者中心の消費構造への変化により、高齢者向けの住宅や医療関連の需要が増える反面、若年層向けの消費や投資が減少する傾向が考えられます。これにより企業の売上が低迷し、経済全体が停滞するリスクが懸念されています。

 

地方衰退の加速

 

都市部への人口集中が進む中、地方では高齢化率が急激に上昇しています。この結果、地方経済が衰退し、医療や介護サービスが不足する地域格差が生まれる可能性があります。

これに対応するため、地方自治体では「コンパクトシティ」構想が進行中です。この計画では、商業施設や住居を集約し、快適な生活環境を提供することで地方の持続可能性を高めることを目指しています。

 

世界の高齢化社会への対応

 

日本だけでなく、世界各国も高齢化社会に直面しています。海外ではどのようにして高齢化社会と向き合っているのでしょうか。

 

フランス:家族支援政策の充実

フランスでは、少子化の進行を抑えるために手厚い家族支援政策を中心に導入しています。

 

【具体的な取り組み例】

育児支援の充実:税制優遇や児童手当を提供。最も基本的な家族手当は、2人以上の子ども(20歳未

満)を持つ家庭すべてが受給できる手当で、所得制限はありません。金額は2人以上で日本円で一人当たり約15,000円、3人以上で 約20,000円で特に3人以上の子どもを持つ家庭への支援が手厚くなっています。

女性の社会進出支援:柔軟な働き方や育児休業制度の整備により、女性が働きながら子育てをしやすい環境を実現。

高齢者福祉の強化:在宅介護サービスや地域福祉拠点の整備を進め、高齢者が自立した生活を送れるようサポート。

「個人型自立手当(APA)」制度の導入:高齢者の自立水準、所得水準、居住地 (自宅か施設か)に応じて支払われる特別手当。


 スウェーデン:福祉国家モデル

スウェーデンは、高齢者福祉の先進国として「国全体で支える福祉モデル」に取り組んでいます。

 

【具体的な取り組み例】

高齢者向け住宅の整備:介護度で施設を変更する必要がなく、最期まで住み続けられる在安宅施設を整備。

在宅ケアの推進:在宅介護が基本のため、介護のための住宅リフォーム資金支援や、無料で派遣される介護ヘルパーの利用で介護者の負担を軽減している。

所得格差の是正:所得再分配の理念が根付いているため国民から国への信頼が厚く、高税率を受け入れていることで高福祉を実現。子供のころから教育費が無料など、社会福祉の恩恵を受けられる環境が整っているため、高齢者になっても安心して生活できる仕組みが維持されている。


まとめ

 

2025年問題は、日本社会全体にとって大きな課題となっています。特に医療や人口減少についてはフランスやスウェーデンの成功事例から学び、日本独自の高齢化対策を進めることで、次の世代に過剰な負担を残さないための仕組み作りが求められています。

たとえ政府や社会の変化が十分でなかったとしても、個人レベルでの準備や行動次第で、その影響を軽減することは十分に可能です。

資産形成を含めた未来への準備を進めることで、経済的な不安を減らし、安心して暮らせる社会を築いていきましょう。

 


 

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