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2025/03/17 18:59

金融経済教育推進機構の役割と重要性【前編】

2024年に日本証券業協会が実施した調査によれば、株式や投資信託を保有している個人の割合は24.1%でした。

昨今は政府も新NISAの拡充を行ったこともあり、投資による資産形成に取り組もうとする人はこれからも増えていくことが推測されます。 

こういった動きも受け、2024年4月から設立されたのが、金融経済教育推進機構です。 

今回は、金融経済教育推進機構とはどういった機構で、どのような制度やサービスを提供していく予定なのかについて、前編・後編に分けて解説します。

 

金融教育の必要性と影響

今から数十年前、定期預金の金利は5%を超えることも珍しくなく、文字通り日本円を放っておいてもお金が増えていくような状況が続いていました。

しかし現代は、定期預金の金利は1%にも満たない水準であり、そのような時代は既に終わっています。それだけでなく、円安によるさまざまな製品の物価が高まっており、もはや投資なしに生活していくことは難しいというのが実態です。

ただ、必要とは分かっていても、自分が知らないものにお金を使うというのは誰しもが避けたいと思うものでしょう。

金融広報中央委員会が2022年に発表した「金融リテラシー調査」によれば、日本の金融リテラシーの水準は、トップの香港と比べると27ポイントほどの差があることが分かっています。

今でこそ高校から「資産形成」に関する授業が2022年から始まっていますが、香港では小学校から資産形成に関する教育プログラムが20年前弱から続いていることを考えると、日本の金融教育には世界と比較して遅れがあると言えるでしょう。

こうした背景や課題感もあり、設立されたのが金融経済教育推進機構というわけです。

 

金融経済教育推進機構とは

金融経済教育推進機構は、「金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律」に基づき、2024年4月に設立された認可法人です。

設立目的としては、幅広い年齢層に向けた金融経済教育の機会を官民一体で全国に拡充していくことが挙げられており、平たく言えば「金融教育を国を上げて取り組んでいく」ことを目的としていると言えます。

金融経済教育推進機構は、投資だけを正しい選択として推進していくわけではないことが、ミッションから見て取れます。

金融経済教育推進機構が掲げるミッションは、「一人ひとりが描くファイナンシャル・ウェルビーイング(自らの経済状況を管理し、必要な選択をすることで安心感を得られている状態)を実現する」といったものです。

つまり、投資だけでなく、お金の使い方や稼ぎ方、資産の増やし方から守り方までを網羅的に教育していくことが期待できると言えるでしょう。

実際に金融経済教育推進機構のホームページを見てみると、教員が教育現場で使用することを目的とした学習資料が無料で公開されています。

小学生向けの資料では、おこづかいの使い方や、お金を貯めることとは何か?といった、資産形成の一歩となりうることから触れられています。

このことから、金融経済教育推進機構によって、日本のマネーリテラシーの向上が期待できます。

 

金融経済教育推進機構の事業内容

金融経済教育推進機構の令和6年度の事業計画を見てみると、事業内容としては以下のようなものが挙げられています。

・講師派遣事業及びイベント・セミナー事業

・個別相談事業

・J-FLEC 認定アドバイザーの普及・支援事業

・J-FLEC 認定アドバイザー向け養成プログラム

・教材・コンテンツの充実

・調査・統計を踏まえた戦略的な教育の展開

・金融経済教育に取り組む学校等への支援制度

・全国の関係機関との連携

先ほど例に挙げた小学生向けの学習資料コンテンツの拡充だけでなく、成人している人向けへの金融相談事業を行うことも明記されていますので、これから資産形成に取り組みたい人も利用できるサービスが増えていくでしょう。

現時点においては、オンラインや対面でのマネーリテラシーセミナーが頻繁に開催されています。セミナーには金融経済教育推進機構のホームページから、簡単な情報を入力して登録することにより、基本無料で申込することが可能です。

また、一般の人であっても、認定講師の派遣を依頼して独自で勉強会を行うことも可能です。派遣に伴う講義料や交通費はかかりませんので、町内会などの組織で派遣申し込みをしてみるといったことも可能となっています。

講義内容も、小学生から50代以上まで幅広いニーズに対応しており、日本国民の金融リテラシーを引き上げようとしていることが見て取れます。

なお、既に金融リテラシーの高い人は、認定アドバイザーになるための申込をすることもできますので、気になる人は金融経済教育推進機構のホームページをご確認ください。

 


 

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