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2025/06/02 18:36

プライベートアセットとは?いま注目される「未公開資産」【後編】

前編ではプライベートアセットの概要と注目される背景、種類について紹介しました。

後編では、より実践的な視点から投資の方法やリスク、日本における今後の展望について、具体的に考えるべきポイントを深掘りしていきます。

 

前編はこちら⇒

 

実際に投資できる商品・仕組み

プライベートアセットは、かつて大口投資家や機関投資家だけのものでした。

しかし近年は、一部の証券会社で少額から投資できる仕組みが整い、個人投資家でも参加可能な商品やサービスが登場しています。

 

金融口座を通じたアクセス

現在は一般向け商品も増加中で、代表的なアクセス手段には次のようなものがあります。

投資信託:主に複数の投資信託を組み合わせて運用するファンド・オブ・ファンズ形式。

証券会社のラップ口座:プライベートアセットが組み込まれた運用プランに、間接的に投資する。

これらの仕組みを通じて、個人でもプライベートエクイティ(PE)やプライベートデット(PD)、インフラ資産などに分散的に投資できるようになっています。

 

代表的な投資商品

現在注目されている4つの商品をご紹介します。

ブラックストーン・プライベート・エクイティ・ストラテジーズ投信
世界最大級の資産運用会社ブラックストーンが手がけるプライベートエクイティファンド。国内外の未上場企業へのバイアウト投資を通じて、企業価値の向上と収益獲得を目指します。
 

ダイワ・ブラックストーン・プライベート・クレジット・ファンド
大和とブラックストーンによる、米国企業への直接融資を中心としたプライベートクレジットファンド。高金利による安定収益を狙います。

野村日本新鋭成長株ファンド
野村アセットマネジメントが運用する、成長性の高い日本企業に焦点を当てたファンド。未上場のベンチャー企業にも投資対象を広げており、2024年初頭には申込停止となるほどの人気を集めました。

ひふみクロスオーバーPro
レオス・キャピタルワークスが手がける、上場・未上場の両市場に投資するクロスオーバー型ファンド。スタートアップ企業から上場後まで一貫して投資を行い、企業の成長ステージ全体を支援するアプローチが特徴です。


他にもベンチャーキャピタル投資に特化したスタートアップ支援ファンドや、非上場不動産ファンド(私募REITやクラウドファンディング型投資)、インフラファンド(再生可能エネルギーや道路などへの投資)などがあります。

これらを活用することで、分散性を高めつつ、長期的な資産成長を狙うことが可能です。

 

リスクと注意点

プライベートアセットには特有のリスクがあります。

最低投資額やロックアップ(売却できない)期間といった制約だけでなく、ファンドによっては数百万円以上の資金が必要で、解約できるタイミングも3ヶ月ごとなど限定的です。

プライベートアセットは一般投資家にも投資の機会を広げつつありますが、資金の流動性を重視する人にとっては、適さないケースもあるでしょう。

 

日本における今後の展望

制度整備や新たな投資商品の登場により、今後さらに個人投資家にも門戸が開かれていくでしょう。

 

「資産運用立国」政策との連動

日本政府と金融庁は、個人資産の投資を活性化するために、プライベートアセット市場の制度整備を進めています。

  • 投信協会による非上場株式の評価ルールの整備
  • 公募投信への非公開資産の組み入れ促進
  • スタートアップへの投資を支える新制度の導入

 

少額投資サービスの登場

 

もともと機関投資家や富裕層が中心だったプライベートアセットですが、クラウドファンディング型の不動産投資、スタートアップ支援型の少額VCファンドなど、10万円以下から始められるサービス定期積立型の商品も増加中です。
これにより、富裕層や機関投資家に限られていた投資機会が、より広く開かれつつあります。

 

海外との市場規模の違い

 

世界のプライベートアセット市場は約2000兆円規模に達しています。日本は10から20兆円(Preqin 公式サイト参照)とまだ小規模ですが、長期投資志向の広がりや制度整備の進展によって、今後の成長が期待されています。

 

ESGやインパクト投資との連携

 

再生可能エネルギー、地方創生型不動産、ヘルスケア領域など、社会的意義のある分野に投資できるのも魅力です。

 

まとめ

 

プライベートアセットは万人向けではありませんが、長期的・分散的な資産運用を志向する投資家にとって、有力な選択肢となるでしょう。専門機関との連携や商品比較を通じて、納得のいく選択が重要です。

日本においても今後さらなる商品開発や制度整備が進み、プライベートアセットへの関与は資産形成の新しい扉を開くものになるかもしれません。

 


 

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