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2025/11/06 10:26

ペロブスカイト太陽電池から見える日本の未来【後編】

前編では、日本が生んだ革新技術「ペロブスカイト太陽電池」の特徴と可能性を紹介しました。

 

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後編では海外での動向。とりわけ中国の台頭とリスク、そして日本の再生シナリオを掘り下げます。

 

世界は今「ペロブスカイト競争時代」へ

 

ペロブスカイト太陽電池は日本発の技術ですが、現在は世界各国がその開発・商用化にしのぎを削っています。

  • ポーランドのSaule Technologies:軽量で柔軟なフィルム型を開発。ビルや窓など建築物に直接貼り付ける「建材一体型太陽電池(BIPV)」分野で先行しています。
  • イギリスのOxford PV:シリコンとペロブスカイトを重ねた「タンデム型」で変換効率28.6%を記録。イギリス主導の技術ながらドイツのFraunhofer ISEと連携し、商用化を進めています。
  • 中国のTrina Solar:2025年には小面積セルで34.2%、大面積セルで31.1%の高効率を達成。量産技術と資本力を背景に、世界の覇権を狙っています。

世界が新しいエネルギー技術を求める背景には、中国依存からの脱却という構造問題があります。

 

中国依存という構造的リスク

 

現在、日本も再エネ分野は中国企業の影響下にあり、次のようなリスクが浮かび上がっています。

  • 経済依存:再エネ賦課金が中国企業へ

日本の「電力買取制度(FIT)」が高水準の買取価格を設定した結果、収益性を求めた中国企業が日本市場に進出しました。
その結果、日本の家庭が支払う再エネ賦課金が中国企業の利益につながる構図が生まれています。つまり、日本国民の電気代が中国の産業成長を支えているのです。

  • 環境破壊:CO₂を排出するエコ

中国の太陽光パネルは、主に石炭火力による電力で生産されています。
「クリーンエネルギー」を名乗りながら、実際には大量のCO₂を排出しているこの現実は、まさにグリーンウォッシング(偽エコ)と呼ぶべきものです。

また日本のメガソーラー開発では、森林伐採や土砂災害を伴うケースが後を絶たず、「エコのための環境破壊」という皮肉な構図が存在します。

さらに、2030年代後半には年間約50万トンの使用済み太陽光パネルが廃棄される見通しです。

この課題に挑むのが、日本発の技術「佐久本式ソーラーパネル」。
CO₂を出さずに分解・再生できる革新的リサイクル技術ですが、政府はパネルのリサイクル義務化を見送っており、普及の兆しはまだ見えません。

  • 倫理問題:強制労働の懸念

新疆ウイグル自治区での強制労働疑惑を背景に、米国やEUは中国製パネルの輸入を規制する方向へと動き出しました。
日本もまた、倫理的な対応が求められる時代を迎えています。
 

日本が持つ静かな資源力

 

実は、日本には世界が注目すべき「潜在的なエネルギー資源」が眠っています。

ヨウ素:ペロブスカイトの鍵素材

地球上の可採埋蔵量の約8割が日本近海に存在。千葉県を中心に世界第2位の生産量を誇ります。
ペロブスカイトの製造に欠かせない素材であり、日本はこの分野で圧倒的に有利な立場にあります。

レアアース:南鳥島の「海底の宝」

南鳥島沖・水深6,000mの海底で、レアアース泥の採掘実験が2026年に予定されています。
成功すれば、中国依存を脱したレアアースの自給体制を構築できるでしょう。
しかし中国は「海洋強国」戦略のもと、南鳥島周辺の調査を強化。日本の海洋資源を巡る静かな攻防が進行しています。

核融合:究極のクリーンエネルギー

岐阜県の「核融合科学研究所」では、世界最先端のヘリカル方式による核融合研究が進んでいます。
フュージョンエネルギーはCO₂も放射性廃棄物もほとんど出さない理想の電力であり、民間企業Helical Fusionでは2030年代の商用化を目指し、実証炉の設計を進めています。
日本が主導できれば、エネルギー自立国家への道がさらに現実味を帯びます。
 

注目すべき日本企業

 

エネルギー転換時代の主役として期待される企業をいくつか挙げます。

  • 東洋エンジニアリング:南鳥島のレアアース試掘報道(2025年7月)を受けて株価が上昇するなど、資源関連で存在感を強めています。
  • 伊勢化学工業:ヨウ素の国内シェア45%を誇り、ペロブスカイト開発の供給基盤を支えています。
  • 浜松ホトニクス:医療・半導体に加え、レーザー核融合用の高出力装置を開発中。
  • 三菱重工業:国際核融合プロジェクト「ITER(イーター)」における主要機器の製造を担当。日本の核融合技術をリードしています。
     

まとめ

 

日本にはペロブスカイト、レアアース、核融合という「三位一体の資源と技術力」があります。
これらが結びついた時、自国資源・自国技術によるエネルギー循環型国家が実現するでしょう。
そして日本は、エネルギーを輸出する「クリーンテック国家」へと進化できるのです。

この「令和の産業維新」が成功すれば都市が発電し、人が安心して暮らし、技術が未来を支える。
そんな日本の未来像が、少しずつ形を帯びはじめています。

 


 

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