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2025/11/16 11:53

年末に向けての総点検──不動産投資の『収支と戦略』チェックリスト

年末は、一年間の投資を振り返り、来年の戦略を練り直す絶好のタイミングです。不動産投資においては、日々の収支管理や資産状況の把握に加え、社会や市場の動きも踏まえて総合的に判断することが大切です。

特に不動産は損益分岐点が10年前後といわれる資産であり、短期で一喜一憂するのではなく、冷静に中長期的な視点から立ち位置を見直すことが重要です。

今回の記事では、不動産オーナーが年末にチェックすべき「収支と戦略」のポイントを整理します。

投資全体の立ち位置を確認する

まず確認したいのは、“今の立ち位置”です。投資開始から数年は、まだローン返済や諸経費が先行し「持ち出しが発生して当たり前」の時期です。特に開始から10年程度は、キャッシュフローが安定化していく過程にありますので、短期的な収支だけで焦って売却を考える段階ではありません。

むしろ、投資初期の時期を冷静に受け止め、自分の不動産が投資サイクルのどこにいるのかを把握することが大切です。

次に、保有期間と返済計画を整理しましょう。あと何年でローン残債がどれくらい減るのか、修繕積立や固定資産税の見通しはどうかなどを数字で確認することで、今後の戦略を考える基盤ができあがります。特に返済が進めばキャッシュフローが徐々に改善し、投資全体の安定度が増していきます。

さらに、不動産のみならず、自身の資産の「ポートフォリオ全体」で収支を把握することが欠かせません。例えば不動産のキャッシュフローが赤字でも、投資信託や株でプラスであれば、全体としてはプラス収支と見ることができます。

 

物件単体で判断することなく、全体像を俯瞰することで、冷静な意思決定が実現できます。このような整理を通じて、今保有している物件を安心して持ち続けられるだけでなく、「もう1件買い増すべきなのかもしれない」と感じられる余力を確認することもできます。

市場環境を点検する

オーナー個人の立ち位置だけでなく、市場環境の点検も年末には欠かせません。とくに注目すべきは「単身世帯の人口動向」です。総務省の統計でも単身世帯は増加傾向にあり、今後も都市部を中心に需要が拡大すると予測されています。

ファミリー向けよりも1Rや1Kといった単身向け物件が下落に強いとされるのは、この背景があるからです。単身需要の増加を確認することで、来年の投資対象エリアや物件タイプを絞りやすくなります。

また、駅徒歩や生活利便性といった「立地の安定力」も点検しましょう。特に徒歩5分〜10分以内の駅近や商業施設が揃う場所は、景気に左右されにくい安定需要を持ちます。賃貸募集の際も空室期間が短く、結果的に収益の安定性を支えてくれるでしょう。

自分が保有する物件の強みを改めて整理し、将来にわたって需要が見込めるかを確認しておくことが大切です。

さらに、周辺物件の取引価格や販売動向をチェックすることも有効です。近隣の売却事例や新築分譲の価格水準は、資産価値の目安になります。東京や神奈川では各所で再開発やインフラ整備が進んでいる傾向が強く、全体的に価格上昇が見込まれる傾向にあります。

こうした外部環境を踏まえることで、自分の物件のポジションをより正確に評価できるようになります。また、市場全体を点検すると「次はどこを狙うか」といった攻めの投資戦略を進めることも可能です。

来年に向けた戦略を描く

最後に、来年の戦略を描きましょう。基本は「売却・保有・買い増し」の3つのシナリオを比較することです。

売却は資金を現金化して次の投資やライフイベントに活用できるメリットがありますが、譲渡所得税が発生する可能性や将来の家賃収入を失うデメリットもあります。保有は安定した収益を継続でき、ローン返済を進めながら資産を積み上げられる反面、修繕費や金利変動のリスクを背負います。買い増しは収益基盤を拡大でき、長期的に安定度を高められますが、融資枠や運営管理の負担が増す点に注意が必要です。

余程のことがない限り、損益分岐点である10年を超えるまでは「保有」が安心できる選択と考えられます。

そのうえで、出口戦略に備えた資産の流動性を意識することも欠かせません。売却時に需要が見込める物件かどうか、将来の買い手がつきやすい条件を備えているかを見直すことは、買い増しの際のリスクコントロールにも役立ちます。

また、流動性の高い資産を中心に構築すれば、いざという時にも柔軟に動けるポジションが取れます。

合わせて、専門家の査定や市況データを判断材料に加えることも有効です。第三者の視点を取り入れることで、自分では気づかない課題や新たなチャンスを把握できることがあります。不動産に関する情報収集をしたい場合は、トラスティーパートナーズまでご相談ください。

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