半導体株の将来性は?半導体株の基礎と今後の見通しを徹底解説!【前編】

近年、半導体業界は世界的に注目を集めており、半導体関連の株(半導体株)に投資する人が増えています。しかし半導体の仕組みや業界構造は複雑で、投資初心者にとっては分かりにくい部分も多いのが現実です。
記事の前編では、半導体の基礎知識と日本の半導体関連企業について分かりやすく解説します。
半導体株への投資を検討するうえで、有益な指針となるでしょう。
半導体とは? その役割と用途
半導体とは「電気を流す性質(導体)と、流さない性質(絶縁体)の両方を持つ物質」です。この特性を活かし電気の流れを制御することで、コンピューターやスマートフォンなどの電子機器を動かす重要な役割を果たしています。
半導体の主な用途
半導体は私たちの生活に欠かせない存在となっており、さまざまな機器に使用されています。
半導体が使用されている機器の一例
- スマートフォン・パソコン(CPU、メモリ、通信チップなど)
- 家電製品(テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの制御チップ)
- 自動車(EVや自動運転システムの制御チップ)
- 産業用機械(工場のロボット制御、AI向けのチップ)
- データセンター(クラウドサービスを支える半導体)
近年はAI、5G、自動運転、IoT(モノのインターネット)などの技術が進化し、それに伴って半導体の重要性もますます高まっています。
半導体企業のビジネスモデルと日本の半導体関連企業
半導体関連企業といっても事業やビジネスモデルに大きな違いがあり、業界は主に4つの企業群に分かれます。
① 半導体材料メーカー
半導体の製造工程で不可欠な、シリコンウェーハや化学材料などを供給する企業です。高品質な材料を提供することで、技術革新を支えています。
代表的な企業
信越化学工業(日本)シリコンウェーハ市場で世界1位。塩化ビニル樹脂市場でも世界トップシェアを誇る。
SUMCO(日本)シリコンウェーハ市場で世界2位、最先端ロジック用エピタキシャルウェーハで50%以上のシェアがある。
② 半導体製造メーカー
半導体の設計を受託し、製造を行う企業。大規模な工場(半導体製造ライン)を持ち、世界中の企業から受託生産を行っています。
半導体製造メーカーの中でも他社からの委託で請け負う製造専業の半導体メーカーを「ファウンドリ」と呼び、半導体デバイスを設計・製造・販売までを一貫して行うメーカーを「IDM」と呼びます。
代表的な企業
TSMC(台湾)(世界最大のファウンドリ企業)
サムスン電子(韓国)(メモリ製造+ファウンドリ事業を展開)
Intel(アメリカ)(IDM企業だが、近年ファウンドリ事業にも参入)
また、半導体株で人気のNVIDIA、AMD、Qualcomm、MediaTek などは「ファブレス」 企業と呼ばれ、工場を持たずに半導体設計のみを行い、製造はTSMCやサムスン電子などのファウンドリ企業に委託しています。
③ 半導体製造装置メーカー
半導体を製造するための特殊な装置を開発・販売する企業です。製造装置は一度導入されると長期間使われるため、高い技術力と信頼性が求められます。特に日本の半導体製造装置メーカーは、世界的に高いシェアを持っています。
代表的な企業
東京エレクトロン(日本)(成膜装置で世界トップクラスのシェア)
SCREENホールディングス(日本)(半導体の洗浄装置分野で世界トップシェア)
④ 半導体商社
半導体メーカーから製品を仕入れ、エレクトロニクスメーカーや産業機器メーカーに販売する卸売業者を指します。
代表的な企業
マクニカホールディングス(日本)国内首位、世界第5位の半導体商社。
加賀電子(日本)メーカーに依存しない独立系商社。
レスターホールディングス(日本)半導体以外にも環境エネルギー事業なども手がける。
半導体株の特徴と市場動向
景気の影響を受けやすい(シリコンサイクル)
半導体業界には「シリコンサイクル」と呼ばれる景気の波があり、好況期では新技術の登場やIT需要の拡大で半導体の売上が増えますが、不況期では供給過剰や景気減速で半導体の価格が下がり不況に陥ります。
半導体株に投資する際は、このサイクルを理解しておくことが重要です。
政府の支援や規制の影響
半導体は各国の経済や安全保障にも関わるため、政府の支援策や規制が株価に影響を与えることがあります。
アメリカのCHIPS法:2022年、アメリカ国内の半導体生産を強化する政策が成立。
日本のラピダスプロジェクト:2022年に多数の大手企業が出資して、国産先端半導体の製造メーカーを設立。2027年の量産を目標としている。
まとめ
前編では半導体の基礎知識と、日本の半導体関連企業などについて解説しました。
半導体業界は技術革新が激しく、景気の影響も受けやすいため、投資を考える際には業界の動向をよく理解することが重要です。
次回の後編では日本企業の半導体産業の未来と、半導体株の注目銘柄について詳しく解説します!