デジタル時代の新しい通貨!ステーブルコインの現在地と未来【後編】

前編では、ステーブルコインの仕組みと種類、そして現状の市場規模についてお伝えしました。
<関連記事>デジタル時代の新しい通貨!ステーブルコインの現在地と未来【前編】
後編ではステーブルコインに潜むリスクや各国の法整備の方向性、そして投資家としてどこに気をつけるべきかを、できるだけ分かりやすくまとめていきます。
ステーブルコインに潜む主なリスク
安定性を重視して設計されているステーブルコインでも、構造上避けられないリスクがあります。
デペッグ(価格乖離)リスク
ステーブルコインにとって最大のリスクが、この「デペッグ」です。本来は法定通貨と同じ価値を保つように作られていますが、何かの拍子にその仕組みが崩れ、1ドルが1ドルでなくなる状態のことを指します。
2022年に起きた無担保型ステーブルコイン「TerraUSD(UST)」の崩壊は有名で、約2.4兆円の価値が消え、市場全体が混乱しました。
「法定通貨担保型だから安心」というわけではなく、市場のパニック時には一時的に1ドル以下になることもあります。
担保資産・為替による価格変動リスク
ステーブルコインは裏付け資産と同じ動きをするため、その資産が変動すればコイン価格も影響を受けます。
とくに日本円以外の通貨に連動している場合は、為替変動リスクがつきまといます。
また、裏付け資産を超えて価格が上昇することは基本的にないため、値上がり益を狙う投資先としてはあまり向いていません。
発行元の信用リスク
ステーブルコインの発行主体は企業であることが多く、倒産や不正が起きれば価値が失われるリスクがあります。
裏付け資産の保有状況が不透明だったり、管理体制がゆるい場合は、価格維持が難しくなる可能性も。
たとえ分散型のステーブルコインであっても、担保の大部分が中央集権的なコインに依存していたケースもあり「完全に安全」と言い切れるものはありません。
法規制変更のリスク
ステーブルコインはまだ歴史が浅く、国によってルールが大きく異なります。
どの法律のもと発行されているのかによって、保護される範囲がまったく違うため、利用する前に必ず確認が必要です。
トランザクション手数料(ガス代)
ブロックチェーン上で送金する場合、ガス代と呼ばれる手数料が必要です。
ネットワークによって手数料はバラバラで、思った以上にコストがかかるケースもあります。
世界の主要国による規制整備の動き
市場拡大が進む中で、主要各国はステーブルコインに対する法整備を本格化させています。
米国
2025年に「GENIUS法」が成立し、ステーブルコインは明確に規制対象となりました。
発行者には、銀行口座や米国債など高い流動性のある資産の保有が義務化され、無担保型の新規発行は禁止されています。
さらに、SEC(米国証券取引委員会)もデジタル資産のルール整備を本格化しており、米国内での健全な市場育成が進んでいます。
EU(欧州連合)
2024年末に「MiCA」と呼ばれる包括的な暗号資産規制が施行されました。
ステーブルコインを2タイプに分類することでルールを分かりやすくし、取り扱いに統一性を持たせています。
この規制が後押しとなり、USDC発行のCircle社はEUでの取引量が大きく増加しました。
日本
2023年の法改正でステーブルコインの位置付けが明確化され、法定通貨と連動するコインを「電子決済手段」として扱うようになりました。
2025年にはJPYCが初めて資金移動業者としての登録を完了し、日本円に連動するコインを正式に発行。国内のステーブルコイン活用は今後加速していくと見られます。
利用時にチェックすべき運用上の留意点
今後、利用者が使い始める前に確認しておきたいポイントを紹介します。
スマートコントラクトの安全性
ステーブルコインは自動で動くプログラム(スマートコントラクト)によって運用されているため、そこに脆弱性があるとハッキング被害を生む可能性があります。
監査レポートを公開しているかどうかは、最低限確認したいポイントです。
ブロックチェーンの互換性
コインはチェーンごとに発行されるため、「EthereumのUSDCをPolygonで使う」といったことは基本的にできません。
ブリッジを使えば移動できる場合もありますが、ウォレット対応状況を必ず確認しましょう。
まとめ
ステーブルコインは、暗号資産の世界に「安定」という価値をもたらす重要な存在になりつつあります。
決済や国際送金の効率化、手数料の削減など、私たちの生活にも身近な場面で活用される未来が見えてきました。
その一方で多方面でのリスクも多く存在します。これからステーブルコインがどんな形で広がっていくのか、その流れを意識しながら上手に使っていきましょう。
