デジタル時代の新しい通貨!ステーブルコインの現在地と未来【前編】

近年、日本でもJPYDが登場するなど、ステーブルコインは一気に身近な存在になりつつあります。
この前編では、そもそもステーブルコインとは何か。その種類と、現状の市場規模について整理して紹介していきます。
ステーブルコインとは?
ステーブルコインは、暗号資産の一種でありながら、価格が極端に動かないように設計されたデジタル通貨です。
その仕組みの中心にあるのがブロックチェーン技術で、米ドル・日本円などの法定通貨や、金といった現物資産と価値を連動させることで、価格変動を小さく抑える工夫がされています。
ビットコインのような伝統的な暗号資産は、市場の需給バランスだけでなく、規制の動きやニュースなどで大きく値段が動くことが多く、日常の決済にはなかなか使いづらい面があります。
その「使いにくさ」を解消するために誕生したのが、価格の安定性を重視したステーブルコインです。
日本でステーブルコインは「電子決済手段」として法的に定義されたため、新しい送金手段・決済インフラとして注目が高まっています。
ステーブルコインを使うメリット
ステーブルコインは他の暗号資産とは異なり、価格が安定しやすいことから実用面で多くの利点があります。
価格が安定していて安心
多くのステーブルコインは現実の資産と連動しているため、価格が大きく跳ね上がったり急落したりしにくい特徴があります。
また、発行元が法定通貨との交換に応じるタイプであれば、市場の状況をそこまで気にせず保有できます。
送金・決済がとても便利
ウォレットと呼ばれるアプリを使えば、国内外問わず誰にでも簡単に送金できます。
処理時間は数秒〜数十秒とスピーディで、手数料も数円〜数十円程度。
このように銀行送金やクレジットカードよりも速くて安いため、日常的な決済手段としての期待が高まっています。
高い信頼性
日本・アメリカ・ヨーロッパでは、法定通貨を担保とするタイプのステーブルコインに対して、裏付け資産の保有が法律で義務付けられています。
そのため、従来よりも安心して利用できる環境が整いつつあります。
優れた透明性
ブロックチェーン上の取引はすべて記録され公開されるため、不正が起きにくく、高い透明性と監査性を確保している点も大きな特徴です。
ステーブルコインの4種類
ステーブルコインは、大きく以下の4つのタイプに分類されます。
① 法定通貨担保型
日本円や米ドルといった法定通貨を担保に発行されるステーブルコインで、1対1で交換できるタイプです。
発行元が同額の準備金を保有しているため、価格の安定性が高く、仕組みとしては金を担保に価値を保証していた金本位制に近いと言えます。
2025年12月時点では、発行されているステーブルコインの中で最も大きな時価総額を誇るカテゴリーです。
主な銘柄:USDT(テザー)、USDC、BUSD
② 暗号資産担保型
ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産を担保に発行されるタイプです。
暗号資産は価格が大きく動きやすいため、たとえば1万円分のステーブルコインを発行するのに1万5千円分の暗号資産を担保にするなど、過剰担保の仕組みで価格安定を図ります。
主な銘柄:DAI、sUSD、RLUSD
③ 無担保型(アルゴリズム型)
他のタイプと違い、裏付けとなる資産を持たないステーブルコインです。
価格が一定に保たれるよう、アルゴリズムが発行量を調整し、市場の需給に合わせて価値を安定させる仕組みを採用します。
主な銘柄:FRAX、USDN、MIM
④ コモディティ担保型
金・原油・プラチナなどのコモディティを担保に発行されるタイプです。
発行元が発行量と同等の資源を保有することで、価値の安定性を確保します。
市場規模と現状の動き
2025年10月時点で、ステーブルコインの時価総額は過去最高の3,140億ドル(約47兆円)に到達しました。
これは日本を代表する大企業・トヨタ自動車の時価総額に匹敵するほどの大きさです。
市場を牽引しているのは、USDTとUSDCの2つで、この2銘柄だけで市場の約8割を占めています。
どちらも米ドルや米国債を裏付け資産とする法定通貨担保型で、信頼性の高さから利用が集中している状況です。
取引量も急速に伸びており、推計手法によって差はありますが、年間の取引額はVISAとMastercardの合計に匹敵すると報告されています。
まとめ
ステーブルコインは、今後のデジタル経済において欠かせない存在になることはほぼ間違いありません。
一方で、仕組みによるリスクや発行者の信頼性など、注意すべきポイントもあります。
後編では、ステーブルコインを利用する際のリスクや押さえておくべき注意点について、さらに詳しく解説していきます。