「価格下落に強い物件」とは?これからの資産価値の見極め方

不動産投資において、投資した不動産の資産価値が下がらないかは多くのオーナーが気になるポイントでしょう。特に今後の不動産市場は、人口動態の変化や金利動向が見えづらく、価格下落しにくい物件かどうかを見極める力が不可欠です。
そこで今回は、価格下落に強い物件の条件や注意すべき物件の特徴、資産価値を守るための具体的な観点について分かりやすく解説します。
価格下落に強い物件の条件

価格下落に強い物件の第一条件は「立地力」です。駅から近く、生活に便利な施設が徒歩圏内にある物件は、景気変動や金利上昇局面においても賃貸需要が高く、空室率と賃料の下振れが生じにくい傾向にあります。
特に駅徒歩10分以内・複数路線利用可・スーパーや病院、商業施設へのアクセスが良好などの条件に合致していれば、価格下落に強い物件と言えるでしょう。利便性の高さは入居継続率にも直結することから、住人退去によるコスト発生を防ぐことにも繋がります。
第二条件として、「安定した需要」を持つエリアが挙げられます。大学やオフィス街、主要駅までのアクセス良好、再開発が続くエリアなどの恒常的な人の流れがある場所は、どんな経済動向になっても賃貸ニーズが安定している傾向にあります。
こうしたエリアであれば、短期的に不動産市場が混乱したとしても、需要が高くあり続けるため、収益に大きな影響が出にくくなります。
第三条件として、「単身世帯需要が取り込める」エリアが挙げられます。単身世帯は大都市圏を中心に増加傾向にあり、ファミリータイプよりも単身者が入居しやすい1R・1Kのニーズが堅調です。
特に駅近×1R・1K×RC構造の物件は、防災・防音・防犯の面に優れており、価格下落に強く長期保有との相性が良いと言えます。そういった物件は、将来的に売却をする際でも買い手のニーズが高く、出口戦略を立てやすい点も魅力的なポイントと言えるでしょう。
下落リスクが高い物件の特徴

価格下落のリスクが高い物件の特徴として、「物件の供給過多になっているエリア」には注意が必要です。短期間で新築が大量供給されるエリアだと、その分物件間の競合が増えるため、賃料の下げ圧力が強まったり、入居希望者が分散されるため、空室ができやすくなるリスクも高まります。
とはいえ、新築が増えていることそのものが悪いと言うわけではありません。エリアとして立地が良く、管理水準の高い新築であれば中長期で評価されやすく、たとえ新築直後で価値が多少下がったとしても、長期保有の観点では安定するケースもあります。
また、郊外で駅から遠い物件や、バスでの移動が中心になるような物件は、将来の交通利便性や再開発がない限り、価格下落リスクが高まる傾向にあります。特に現在〜将来的に人口減少が進んでいるエリアは需給の偏りが生じやすく、表面利回りが高くても実質的な収益が伸びにくい傾向にありますので注意が必要です。
このような特徴を持つ物件は、空室リスクや価格下落リスクが高く、そもそも投資対象としては慎重な判断が必要です。入居需要が見込めないエリア・条件の物件は避けることが、資産価値を守るうえで最も重要と言えるでしょう。
いずれにせよ、不動産の価格は需要によって決まると言っても過言ではないため、人流の行き来が多いエリアかどうかを見極め、価格下落リスクを避ける意識を持っておくとよいでしょう。
資産価値を守るための実践

不動産は短期で稼ぐものではなく、中長期でリターンを狙う資産です。一般的に損益分岐点は10年前後とも言われており、長期間保有するためのキャッシュフローの管理が投資の成果に繋がります。金利や修繕費、税金の負担も織り込んだシミュレーションを考え、最もリスクの低い方法で投資を進めていくことがポイントです。
また、同じ区であっても、細かなエリアの違いによって下落耐性は変わってきます。交通の便が良く、再開発にも積極的などの要素がある需要の高いエリアであれば、中長期的に安定した収益を期待できるでしょう。
仮に同じ区内で2件以上の物件を保有していたとしても、路線や駅徒歩、築年数や構造などの要素を分散できていれば、運営効率が上がりスケールメリットが働くため問題ありません。
他の実践視点で言うと、物件の長期保有を前提に、市場やライフスタイルの変化に応じて定期的に戦略を更新することもポイントです。
価格の天井や底ばかりを気にするのではなく、居住者にとって住みたい物件かどうかという観点で考えることで、結果的に不動産の資産価値を守ることが可能になるでしょう。