大阪関西万博が不動産市場に与える影響とは?投資チャンスを探る【前編】

2025年に開催される大阪関西万博は、世界中の注目を集める一大イベントで、日本国内でも経済効果への期待が高まっています。
大阪・夢洲(ゆめしま)を中心に、インフラ整備や再開発が進み、不動産市場にも大きな影響を与えることが予想できます。
しかし、万博に関連する不動産投資が本当に長期的な利益につながるのでしょうか。
記事の前編では、大阪関西万博による不動産市場への影響の背景を解説しつつ、考えるべき課題やリスクについて取り上げます。
後編では、具体的な投資戦略や万博後の市場展望について深掘りしていきますので、ぜひ続けてお読みください。
大阪関西万博とは?その規模と影響
大阪関西万博は2025年4月13日から10月13日まで、大阪湾の人工島「夢洲」を会場として開催されます。
東京オリンピック・パラリンピックの開催期間中の約6,000億円の経済効果と比べ、日本国際博覧会協会によると、万博がもたらす経済効果は約2兆円とされています。
「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマのもと、世界中から約2800万人の来場者が見込まれており、日本全体への経済波及効果も期待できるでしょう。
万博がもたらす不動産価格の上昇
大阪関西万博が決定して以来、大阪の不動産価格は上昇傾向にあり、国土交通省の「地価公示」によると、2023年の大阪市内の地価は前年に比べて約4.5%上昇しています。
特に夢洲や大阪市内の再開発エリアは、地価の上昇が著しく、すでに投資家たちの注目を集めています。
さらにはインフラ整備の進行で、夢洲周辺の交通アクセスが向上するため、不動産価格の上昇がしばらく続くと考えられています。
万博によるインフラプロジェクトの進行状況
大阪メトロ中央線の延伸
地下鉄中央線(コスモスクエア駅から夢洲駅間)の延伸が2025年1月に開業予定です。これにより、万博期間中はもちろん、将来的にも夢洲へのアクセスの良さが確保されます。
新たなホテルや商業施設の建設
夢洲周辺では、訪問者向けのホテルやショッピングモールの建設が進んでいます。観光需要が高まる中で、これらの施設は長期的な不動産価値に寄与すると考えられています。
ホテル開業例
- タイの高級ホテルグループが「センタラグランドホテル大阪」を2023年7月に開業
- アメリカのマリオット系列の「オートグラフ コレクションホテル」が2024年7月に開業
- カナダの高級ホテルグループが「フォーシーズンズホテル大阪」を2024年8月に開業
- アメリカのヒルトン系列の最上級ホテル「ウォルドーフ・アストリア大阪」が2025年度上期に開業予定
- 大阪の老舗ホテル「リーガロイヤルホテル大阪」がカナダ系のベントール・グリーンオーク・グループに売却され、高級ホテルとして2025年3月以降にリニューアルオープンを予定
- シンガポールのカペラホテルグループが「パティーナ大阪」を2025年春に日本初進出
このように、多くの外資系高級ホテルの開業が相次いでおり、大阪関西万博への期待が高まっている
過去の国際イベント後の不動産市場に見られるリスク
一見、万博による不動産価格の上昇は投資家にとって魅力的なチャンスに思えますが、注意点もみておきましょう。
東京オリンピックや愛知万博など、イベント終了後にその地域の不動産価格が急落した例もあります。
不動産の急落の例
東京オリンピック後の不動産市場…オリンピック需要が一時的に不動産価格を押し上げた反動により、東京オリンピックが終わった2021年以降、東京の一部地域では不動産価格が停滞、あるいは下落しました。
愛知万博後の地価の推移…2005年の愛知万博の開催期間中は、名古屋市やその周辺の地価が上昇しましたが、イベント終了後は一部地域で不動産価格が急落し、バブルのような状況が見られました。
投資判断を行う上での注意点
大阪関西万博によって、不動産市場が大きく変化することは間違いありません。
しかし、万博期間中の一時的な価格上昇に飛びつくのではなく、長期的な視点での投資戦略が求められます。
投資判断は、以下の点をふまえて行いましょう。
●短期的な価格上昇に惑わされない…一時的な需要に惑わされず、万博終了後も価値を維持できる不動産を選ぶことが重要です。
●将来の市場動向を見据える…インフラ整備や再開発が進む地域でも、持続的な発展が期待できるかどうかを慎重に見極めましょう。