不動産投資 vs. 他の資産運用──これからの時代に強いのは?【前編】

資産運用の選択肢が多様化する今日ですが、従来から活用者の多い不動産投資は引き続き人気を集めています。
株や投資信託、仮想通貨などほかの資産運用方法も魅力的ではありますが、将来を見据えた堅実的な資産形成という観点では、実物資産としての安定性がある不動産に軍配が上がることも少なくありません。
この記事では、不動産投資と代表的な他の資産運用方法との特徴を比較しつつ、これからの時代に強い方法は何かについて考えていきます。
なぜいま“不動産投資”が再評価されているのか

不動産投資は、かつては一部の富裕層だけが行うような資産運用でしたが、今日では民間企業に勤めるサラリーマンを始め、幅広い層に注目されています。その背景としては「実物として存在する」という現物資産ならではの安心感が挙げられます。
不動産は株や投資信託とは異なり、モノとして存在する土地や建物がありますので、価値がゼロになるリスクが極めて低く、資産としての保全性が高い点が魅力的だと評価されています。
また、不動産はインフレに強いといった特徴も見られます。物価が上昇すると、家賃や資産価値も比例して上昇する傾向がありますので、現金よりもインフレ耐性に優れている資産運用方法と言えるでしょう。
実際に近年の物価上昇局面においても不動産投資ニーズは手堅く推移しており、特に東京を始めとした都市部を中心に家賃水準も堅調です。
さらに、不動産投資は「ローンを活用できる資産運用」という点でも唯一性のある投資です。自己資金に加えて金融機関の融資を活用することで、保有資金以上の資産形成が可能になります。
これは他の資産運用にはないメリットであり、安定した収入を持つ会社員にとっては、非常に有効な手段となり得るでしょう。また、不動産投資は管理会社に代行を委託することもできるため、初心者でも始めやすい状況です。
株・投信・仮想通貨──他の資産運用の可能性と限界
資産運用を始める際、まず検討されやすいのが株式投資です。上場企業の成長にともなって値上がり益が期待できる一方で、景気や為替リスクなど多くの要因に影響を受けやすく、値動きが大きい点が特徴です。
特に短期的には多額の利益を上げられる可能性がある反面、急落による損失リスクも同様に発生する点は、初心者にとってはやや不安材料になりうるでしょう。
投資信託は運用のプロに資金を託すような形であり、NISA制度の拡充も相まって初心者でも取り組みやすい資産運用です。長期で積立することで安定的なリターンを期待できるといった強みが見られます。
ただし、毎年の利回りにはばらつきがあったり、選んだ投資先によっては元本割れのリスクがあるなど、手軽さの反面完全に安心できるというわけではないという点には注意が必要です。
また、近年は仮想通貨や金などの投資への関心も高まっています。特に仮想通貨については短期的に大きなリターンを得られる可能性がある反面、法整備が整っていなかったり、価格変動が激しいという観点から、リスク管理が極めて難しい課題を抱えています。
金は有事の際に注目されがちな安全資産とされていますが、金そのものが収益を生むことはありませんので、資産拡大をしていくという観点だと不足があると言えます。
これらの金融資産は、どちらかというとメインの資産運用方法というよりも、あくまでもポートフォリオの一部として活用すべき選択肢と言えるでしょう。

収益性・安定性・リスク──本当に強いのはどっち?
資産運用を考える上で、「収益性」「安定性」「リスク」のバランスは非常に重要です。不動産投資では、ローン返済後に家賃が純粋な収益となりますので、保有期間が長くなればなるほど利回りが高くなる傾向があります。
加えて、建物や立地によっては物件価格自体が上昇する期待もできるため、売却益も狙えるといったダブルの収益構造を持つ点が強みと言えます。
また、不動産は経済の急変にも比較的強く、特に都心部の住宅需要はコロナ禍やインフレの影響下でも安定しています。現物資産がゆえの「持ち続ける強さ」が、不動産投資における最大の強みとも言えるでしょう。
一方、株や投資信託、仮想通貨などは投資のタイミングや商品選びによって結果が大きく左右されることもあり、短期的な利益を狙うには有用や手段ではあるものの、市場環境の悪化が資産価値の目減りに直結しやすく、精神的なプレッシャーがかかりやすいといった弱みがあります。
資産形成においては「長期・安定・分散」が基本ですが、長く持てる安心感という意味では不動産が強いと言えるでしょう。ただし、不動産だけでなく株や投資信託にも分散投資するなど、ポートフォリオを意識した資産形成が重要である点は、あらためて認識しておいてください。
後編は、最終的にどの資産運用が強いのかの結論や、リスクを抑えた投資方法について見ていきます。