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2025/03/14 18:29

デジタルノマド時代の到来!日本経済に与える影響とは?【後編】

前編では、日本でのデジタルノマド活性化の背景と可能性について解説しました。

 

前編はこちら⇒

 

後編ではデジタルノマドを取り巻く課題や日本政府の政策の変化、地方自治体が進める先進的な取り組みに焦点を当てます。

さらに、海外から日本に訪れるデジタルノマドたちの背景や、日本と海外のデジタルノマドにおける違いを探りながら、デジタルノマドがもたらす未来の可能性について考察します。

 

デジタルノマドの課題

 

急速に拡大しているデジタルノマドという働き方ですが、発展を進めるためにはいくつかの課題を解決する必要があります。

 

セキュリティやネット環境の改善

 

デジタルノマドは多くの場合、仕事をオンラインで行うためWi-Fiのセキュリティが重要です。安全性が不十分なネットワークを使用すると、情報漏洩やデータの盗難などのリスクが高まります。

日本国内では、都市部のネット環境は充実しているものの、地方では依然として改善の余地がある地域も少なくありません。地方のインフラを整えることが、今後の課題となります。

 

 法規制と税制の課題

 

デジタルノマドは国をまたいで活動することが一般的なため、税制や労働法の整備が不可欠です。日本では外国人ノマドが増加しているものの、所得税や滞在許可の手続きが複雑で、活動を妨げる要因となっています。

これらの課題を克服することで、日本がデジタルノマドにとって魅力的な国になる可能性が広がります。

 

日本政府の政策

 

デジタルノマド専用ビザの発給


2024年4月1日、日本政府はデジタルノマド向けの特別滞在ビザを発給しました。この「特定活動」ビザには以下の要件があります。

滞在期間が1年のうち6ヶ月を超えないこと

年収が1,000万円以上であること

配偶者や子どもも同じビザで滞在可能

このビザにより、海外からのノマドが日本での活動をしやすくなり、長期滞在による経済効果が期待されています。

 

 デジタルノマド誘致の実証事業

 

同じく2024年4月、観光庁はデジタルノマド誘致を目的とした実証事業を開始しました。公募を行い事業に採択された地域には、デジタルノマドを招致するための費用(宿泊費やコワーキング施設利用費など)が最大1,000万円まで支給される仕組みです。

このプロジェクトは5つのモデル地域が選定され、宮崎県日向市、福岡県福岡市、石川県金沢市、沖縄県名護市などでデジタルノマドの特性やニーズを踏まえた受入体制の構築、滞在プログラムの造成のための具体的なプログラムが実施されます。
 

地方都市の取り組み

 

地方都市は、デジタルノマドを受け入れるための先進的な取り組みを進めています。その中でも福岡市は特に注目されています。

 

福岡市の取り組み

 

スタートアップビザの発行:最長6か月間日本に滞在できるデジタルノマドビザとは別に、外国人起業家を支援するための制度。事業を進めながら在留資格の要件を整えることができる。

コワーキングスペースの整備:市内中心部に複数のスペースを設置し、快適な作業環境を提供。

国際イベントの開催:「COLIVE FUKUOKA」など、ノマド同士の交流や地域との接点を生むイベントを開催。

これらの施策により、福岡市は世界中のノマドにとって魅力的な拠点となっています。

 

石川県金沢市の取り組み

 

石川県金沢市では、株式会社パソナJOBHUBが外国籍ノマドを対象とした滞在プログラムを実施。応募者には2週間の滞在を通じて地域との交流を深める機会が提供されており、ノマドと地域の双方にメリットをもたらしています。

 

デジタルノマド  日本と海外の違い

 

世界のデジタルノマド市場

 

デジタルノマドの人口は約4,000万人と推定されており、そのうち48%が米国人です。

特にアメリカでは、新型コロナウイルスの影響でリモートワークが急増。MBO Partnersの2022年の調査によると、ノマド人口がわずか3年で131%増加しました。

一方、ヨーロッパではシェンゲン協定による国境の自由な移動や、統一通貨ユーロの存在がノマドにとって大きな利便性をもたらしています。

 

日本の現状

日本では、終身雇用制度や安定志向が根強い文化的背景があり、デジタルノマドという働き方を選ぶ人はまだ少数派です。しかし、地方創生政策の推進やテレワーク環境の整備により、状況は徐々に変わりつつあります。

 

まとめ

 

デジタルノマドの活性化は、日本経済に新しい可能性をもたらす重要な要素です。地方経済の活性化やインバウンド需要の拡大、ノマドによるイノベーション創出など、多岐にわたる効果が期待されています。

その一方で、税制や法規制、地方のネットインフラなどの課題も依然として存在します。

これらを解決し、デジタルノマドにとって魅力的な環境を整備することで、日本全体の経済成長に大きく寄与することができるでしょう。

福岡市のような先進事例を全国的に展開し、日本が世界中のノマドにとって理想的な拠点となる日が近づいています。

 


 

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