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makeA事務局
2025/05/07 21:06

複利計算と長期投資の関係を明らかにする【前編】

資産形成に取り組もうとする際、重要になってくる考え方として「複利」が挙げられます。

特に中長期的な資産形成において、上手く複利効果を活かすことができれば、投資利益がさらに利益を生み出すような好循環を作り上げることが可能です。

今回はそんな複利効果について、基本的な知識から知っておくべき考え方まで、前後編に分けて解説します。

 

複利計算の基本とその重要性

複利とは、投資によって設けた利息や利益を元本に組み入れていくことを言います。

利益や利息をそのまま受け取ってしまうのではなく、再投資することにより、元本がどんどん膨れ上がり、利益が利益を生み出す循環を作り上げることが可能です。投資の世界では、複利は「雪だるま式に利益が増えていく」と表現されることもあります。

複利の対義語としては「単利」が挙げられます。

単利では、一番初めの投資元本にしか利益や利息がつかないため、複利に比べて利益の伸び方が小さくなりやすいといった特徴があります。

複利における効果の詳細な計算方法は後ほど解説しますが、分かりやすく複利効果を計算する方法として、「72の法則」「115の法則」というものがありますので、あらかじめ理解しておくと良いでしょう。

72の法則とは、一括投資をした際に複利効果を使うとお金が2倍になるまでの期間をすぐに計算できる方程式のことを言い、具体的な計算式は以下の通りです。

【72の法則】

72÷金利(%)=一括投資をした際にお金が2倍になる期間(年)

72の法則を使えば、これから投資を始めたいと考えている金融商品の見込みリターンから、複利効果でどれくらいの期間で資産が2倍になるかを簡単にシミュレーションすることが可能です。

例(72の法則)

  • 1%での運用:72÷1=72年
  • 3%での運用:72÷3=24年
  • 5%での運用:72÷5=14.4年

また、似たような方程式として115の法則というものもあります。これは、複利を用いる前提で一括投資をした際、資産が3倍になるまでの期間を計算できる方程式のことを言います。

【115の法則】

115÷金利(%)=一括投資をした際にお金が3倍になる期間(年)

例(115の法則)

  • 1%での運用:115÷1=115年
  • 3%での運用:115÷3=38,3年
  • 5%での運用:115÷5=23年

なお、それぞれは方程式となっていますので、式の変形によって「72(115)÷お金が2倍(3倍)になる期間=金利」という計算式を作ることができます。

これにより、複利効果で特定の期間で資産を2倍(3倍)にしたい時に、どれくらいの金利リターンを目指せばいいかを簡単に資産することも可能です。

 

複利計算の具体的な方法

複利は長期投資に向いているという声をよく耳にしますが、これは単利と複利のそれぞれの計算式を見れば明らかとなります。

単利の計算式:元本×(1+利回り×運用年数)

複利の計算式:元本×(1+利回り)^運用年数

このように、複利は運用年数が利回りに対して階乗で掛け合わさることになるため、運用年数が増えれば増えるほど大きな利益を生み出すことになります。

上記の計算式をベースに、簡単なシミュレーションをしてみましょう。

ある金融商品Aを、投資元本500万円で利回り5%で運用したとします。運用期間が10年だった場合、単利と複利のそれぞれの投資結果は以下のように計算できます。

単利:500×(1+0.05×10)=750万円<250万円の利益>

複利:500×(1+0.05)^10≒814万円<314万円の利益>

このように、複利は投資元本がどんどん増えていくことになるため、結果的に単利で運用するよりも長期投資において利益が大きくなるといった特徴があります。

もちろん、金利が全く変わらず安定している金融商品はほとんどありませんが、長期分散投資に取り組めば金利を安定化させることが期待できるため、特に積み立て投資においては複利効果を狙える「再投資型」の商品を利用するのも良いでしょう。

 

積立投資における複利の活用

先ほど触れた通り、複利効果は運用が長期になればなるほど効果が実感できることから、積立投資と相性が良いと言えます。

特に新NISAについては、非課税保有期間が無期限化したこともありますので、向こう30年〜40年までを見据えた長期運用を行えば、月々数万円の投資であっても、複利効果によって多額の老後資金を積み立てることも期待できます。

なお、投資信託で新NISAを使った自動積立を行う際は、投資利益をそのまま受け取るか、再投資に回すかの設定を行うケースがほとんどです。

もし現在新NISAで積立投資設定を行っている人は、今一度自分の投資設定が再投資型。つまり複利効果が得られる設定になっているのかを改めて確認してみてください。

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