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makeA事務局
2025/11/30 11:56

年末に考える“節税戦略”──不動産オーナーが押さえるべき税務ポイント

この時期は、一年の収支や投資成果を振り返り、来年に向けた計画を立てるタイミングです。確定申告準備の時期に入る今だからこそ、自分の所得や支出を整理し、無理なくできる節税策を見直すチャンスといえます。

不動産オーナーにとって節税は、単なる“税負担の軽減”ではなく、資産を守りながら次の投資を見据えるための戦略でもあります。今年の数字を確認しながら、長期的な視点で賢く備えていきましょう。

まずは“今年の所得構造”を整理する

節税を考えるうえで最初に行うべきは、所得の全体像を把握することです。給与所得、不動産所得、副業収入など、複数の収入源を一度整理し、課税対象となる所得構造を俯瞰しましょう。

不動産オーナーの場合は、家賃収入から経費や減価償却費を差し引いた「所得金額」がどのように算出されているかを正確に把握することが重要です。これにより、どの程度の税負担が見込まれるか、節税の余地がどれほどあるかを見極めることができます。

次に、所得控除や課税所得のラインを確認します。基礎控除・社会保険料控除・生命保険料控除・医療費控除など、活用できる控除を洗い出し、課税額を下げる仕組みを整理しましょう。特に課税所得が区分を超えると税率が上がるため、「あと数万円で税率が変わる」ような場合は、支出計画を年内に調整するのも考慮すべきです。

さらに、控除を最大限活かすための支出も見直しておきましょう。ふるさと納税や寄附金控除は、今からでも間に合うケースが多いです。こうした支出を年内に計上すれば、来年の納税額を抑える効果が期待できます。

節税を目的にしすぎずとも、「お金の流れを整理する」という意識を持つだけで、資産管理全体が整っていきます。これらを踏まえて、投資を含む自分のポートフォリオを一度見直すことから始めてみてください。

年内にできる節税アクションを実行する

この時期から年末までにかけて実行できる節税アクションはいくつかあります。

例えばふるさと納税、NISA、iDeCoといった制度は、少額からでも効果的に税負担を軽減できます。特にiDeCoは掛金が全額所得控除の対象となり、将来的な年金準備にもつながりますし、NISAでの運用益が非課税になる点も、長期的に見れば資産を効率的に増やす一手です。

不動産に関しては、経費の扱いがポイントになります。修繕費、管理費、保険料、雑費などは、年内に支払いを行っていれば当期の経費として計上可能なケースもあります。

さらに、家族単位での最適化も重要です。配偶者控除や扶養控除の活用、夫婦での資産分散などを行うことで、家計全体の税負担を抑えることができます。家族の収入や支出を見直し、各人に最も有利な税制を適用できるように調整しておくとよいでしょう。

このように、節税は“点”ではなく“線”で考えることが重要です。ふるさと納税などの手軽な方法を起点に、不動産経費の見直しや家族単位の調整を組み合わせることで、安定的な資産運用が可能になります。

そして、その延長線上に「次の投資」や「物件の追加購入」という選択肢が自然に見えてくるでしょう。

来年以降を見据えた“税金対策の仕組み化”

節税は年末の一時的な取り組みで終わらせず、継続的な仕組みに落とし込むことが理想です。

まずは、年間の家計や投資全体を見渡した「税負担シミュレーション」を作ってみましょう。給与や家賃収入、経費、控除を入力することで、翌年の課税見込み額や節税余地を定量的に把握できます。数字で見える化することで、翌年の支出計画も立てやすくなります。

また、NISA・iDeCo・生命保険・寄附金などの控除制度は、年間スケジュールに組み込むことで無理なく活用できます。例えば、ボーナス時期にふるさと納税を行う、保険の見直しを年初に行う、というようにライフイベントに合わせて制度を利用するのがポイントです。

さらに、不動産投資を節税と資産形成の両軸で考えるのも効果的です。不動産はローン返済期間中に経費計上できる項目が多く、長期的に見て所得圧縮効果を発揮します。損益分岐点はおおよそ10年前後とされますので、焦って短期売却するよりも、長期保有で安定したキャッシュフローを得ることが現実的な戦略と言えます。

最後に、税制改正は毎年のように行われるため、専門家への相談も視野に入れましょう。税理士やファイナンシャルプランナーに収支や投資状況を共有すれば、自分では気づけない最適な方法を提案してもらえる可能性があります。

もちろん、トラスティーパートナーズも不動産情報だけでなく税金に関する知見が豊富なスタッフやファイナンシャルプランナーがおりますので、将来の資産を守り、育てる設計に取り組みたい方は年末のこのタイミングでご相談ください。

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