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2025/08/05 09:15

なぜ今ホテル投資?活況の背景とこれからのヒント

街を歩けば観光地はもちろん都心部にも外国人観光客の姿があふれ、インバウンド回復の実感が日増しに強まる2025年。日本のホテル市場は今、単なるリバウンドを超え持続的成長フェーズに突入しつつあります。

本記事では今なぜホテル投資が活況を呈しているのか、注目される成長領域、そして投資家がとるべき戦略についてわかりやすく解説します。

 

ホテル投資を取り巻く好材料

 

ホテル投資が活況を呈している背景には、大きく3つの要因が考えられます。

 

インバウンドの急増と市場拡大

日本政府観光局(JNTO)によると、2025年4月の訪日外国人は390万人以上で、前年同月比の28.5%増となり単月過去最高を記録しました。特に中国、香港、米国、豪州を中心に訪日外客数の伸びが顕著で、高級ホテルや旅館の稼働率・客単価が大幅に上昇しています。

円安・低金利で外資が流入

長期化する円安と超低金利の環境下、日本のホテル市場は高利回り×安定収益が期待できる数少ない投資先として注目されています。ブラックストーンやKKRなど、海外大手ファンドも日本市場への投資を加速中です。

投資額は前年比+81%の急拡大

不動産サービス大手CBREによると2025年1〜3月期のホテル投資額は1730億円(前年同期比+81%)を記録。REITによる投資も2.5倍に増加しており、資産の入れ替えが加速しています。

 

市場成長のカギを握る「ホテル投資の3大トレンド」

 

今後の市場成長を左右するのが、宿泊ニーズの変化や供給構造の転換といった構造的トレンドです。

 

国際イベントとMICE需要の拡大

大阪・関西万博を筆頭に、国際会議・スポーツ大会・音楽フェスなどの開催が全国で増加。これにより、ビジネス・観光両面からの宿泊需要が拡大し、地方都市への波及効果も期待されています。

 

消費はモノから体験へ

ホテル自体が旅行の目的地となるような、宿泊そのものを目的としたホテル(デスティネーション型ホテル)が注目され、体験型・テーマ型の宿泊施設に人気が集中。単価上昇やSNSでの拡散力が高く、リピーター獲得にも有利です。


デスティネーション型ホテル 例


 ・里山十帖(新潟)…棚田×古民家+地元食材で成功。
 ・界 加賀(石川)…露天風呂×伝統工芸でブランド力向上。
 

中間層向けの「子連れ専用」「サウナ付き」「ペット可」などライフスタイルに合わせた、ライフスタイルに合わせたパーソナライズ型のニーズも伸びています。

 

新規供給の抑制と既存ホテルの優位性

建設費の高騰や人手不足により、新築ホテルの供給は鈍化傾向に。これにより、既存ホテルの再評価が進むとともに、空きビルやオフィスのホテル用途へのコンバージョン(用途転換)が増加。特に地方では、解体・建て替えよりも低コスト・短工期で収益化できる点が重視されています。

 

投資家が押さえておきたい4つの戦略ポイント

 

ニーズの多様化や技術革新を踏まえた戦略で、長期的に優位性のあるポートフォリオ構築につなげましょう。

 

① 高単価×供給不足エリアへの投資

京都・大阪などの定番都市だけでなく、
・渋谷周辺の長期滞在型ホテル
・瀬戸内海のラグジュアリー宿
といったニッチだが高需要の地域にもチャンスあり。交通インフラや住宅開発との競合リスクも視野に入れることが重要です。

 

② コンセプトホテルへの注目

古民家再生、地域体験、サウナ、ワーケーションなどをテーマにしたライフスタイル型ホテルが人気。SNSとの親和性が高く、自治体の補助金対象となるケースもあり、収益性とリスク分散の両立が可能です。

 

③ テクノロジー導入で効率化&満足度アップ

都市部では顔認証による非接触チェックイン、AIによる価格最適化、IoTを活用した客室管理など、省人化と満足度向上の両立が実現できます。

変なホテル…ロボット導入による話題性と人件費削減。

ホテルグレイスリー新宿・ベッセルホテル…モバイルチェックインやAIチャットで業務効率化。
 

④ ESG・サステナブル投資の視点

再エネ設備の導入や、地産地消・地域共生を重視したホテル運営が評価され、中長期的な資産価値の向上に寄与しました。

帝国ホテル東京…館内で出た水を循環利用するなど、SDGs教育プログラムでMICE誘致実績を拡大。

 

まとめ

 

2025年の日本のホテル市場は単なる一時的な回復を超え、構造的な成長のフェーズに差し掛かっています。
これからの投資では「どのホテルでも良い」という視点ではなく、地域の特性や体験価値、収益性、そして持続可能性といった要素を丁寧に見極める姿勢がますます重要になっていくでしょう。

柔軟な発想と少し先を見通す視点を持ちながら、共感を集めるホテルに目を向けることで、収益性だけでなく社会的意義も兼ね備えた「しなやかで強いポートフォリオ」を築くことができそうです。

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