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makeA事務局
2025/06/17 09:15

デジタル証券化で変わる海外不動産投資の新常識【前編】

いま資産運用の分野で注目を集めているのが、「デジタル証券化(セキュリティトークン化)」という新しい投資の形です。
これはブロックチェーン技術を活用して、不動産などの資産を電子的なトークンとして発行・管理する仕組みで、これまで機関投資家に限られていた資産にも、一般の個人がアクセスできるようになってきました。

2025年には、日本でも海外不動産を裏付けとしたデジタル証券の発行が本格化する見通しです。
こうしたことによりアメリカの一流ホテルや、アジアの経済成長が著しい都市の商業施設への投資が、一般投資家にも開かれる時代が到来しようとしています。

 

少額で始められる「海外不動産投資」の魅力

従来の不動産投資は、多額の初期費用や複雑な契約手続きが必要で、資産に余裕のある層しか参入できませんでした。
実際、数千万円〜億単位の資金が必要になるケースもあり、「ハードルが高い投資」として敬遠されてきました。

しかしデジタル証券化の登場により、10万円前後から海外不動産に投資できる新たな選択肢が登場しています。
こうした特性から若年層や副業層など、これまで不動産投資に縁のなかった人たちでも、手軽に参加できる環境が整ってきたのです。

 

デジタル証券化の仕組み

不動産のデジタル証券化とは、物件の所有権や収益権を小口に分割し、それをトークンとしてブロックチェーン上で発行・管理する仕組みです。

「不動産セキュリティトークン(不動産ST)」とは、ブロックチェーン技術を活用して不動産ファンドの投資持分を電子的に証券化し、権利の移転もブロックチェーン上で完結する次世代の金融商品です。

 

基本的な流れ

  1. 発行体が、海外の不動産(例:ホテル、オフィス)をトークン化
  2. 投資家は、証券取引所や専用プラットフォームを通じてデジタル証券を購入
  3. 賃料収入や売却益が、保有トークンの割合に応じて分配される
  4. 所有・取引記録はブロックチェーンに記録され、透明性・安全性が確保される
    この仕組みにより、現地に行くことなく、海外不動産のオーナーの一部になれるのです。

 

従来の海外不動産投資との違い

これまで海外不動産に投資するには、以下のような手法が一般的でした。

  • 現地に法人を設立して購入(初期費用・法務負担が大きい)
  • 海外ファンドに出資(投資先を選べない)
  • 現地で直接購入(言語・税制・登記などが複雑)
  • REITなどの金融商品での間接投資(所有感が薄い)

このように、高額資金や手続きの煩雑さから、主に機関投資家や一部の富裕層向けでした。

一方、デジタル証券化を使えば少額・非対面・自由な投資先選定が可能となり、「いいとこ取り」の投資手法として注目されています。

 

デジタル証券化でのメリットとリスク

リターンの魅力がある一方で、リスクへの理解も重要です。メリットと注意点を整理しておきましょう。

 

メリット

  • 少額投資が可能(10万円程度から)
  • 高い透明性(ブロックチェーンで履歴・権利関係が明確)
  • 配当もスムーズ(スマートコントラクトによる自動分配)
  • 高利回りが期待できる(アメリカなどの成長市場へのアクセス)
  • 投資先の分散がしやすい(複数の物件に投資可能)
  • 円安時に有利(外貨建て収益により資産保全効果)
     

リスク(注意点)

  • 法制度の不透明さ:市場は新興段階にあり、制度変更の可能性も
  • 税務の煩雑さ:海外所得の申告義務や二重課税リスク
  • 為替リスク:外貨建て資産のため、為替変動に注意
  • 情報収集の難しさ:現地法規や情勢の理解が不可欠
  • 市場の成熟度:取引所の信頼性や換金性にばらつきがある
     

他の投資手段との違い
 

海外不動産を所有する方法として代表的な、REITやクラファンとの違いを確認しましょう。

REITやクラウドファンディングと比べても、不動産STには独自の魅力があり、金融商品以上の体験価値を持つ投資先としても注目が高まっています。

 

こんな人におすすめ

実際に、この新しい投資手法がどんな人にフィットするのかをご紹介します。

不動産投資に興味があるが資金が限られている方
海外資産でリスク分散を図りたい方
為替変動も収益に活かしたい方
ブロックチェーン技術に関心がある方
REITやクラファンに物足りなさを感じている方
こうした方にとって、不動産STは新しい時代にふさわしい資産運用の一手となるでしょう。

 

まとめ

ここまで、デジタル証券化の仕組み、メリット・リスク、そして従来の海外不動産投資との違いをご紹介しました。
少額から実物資産に投資できるという新しい選択肢は、資産運用の可能性を大きく広げてくれるはずです。

後編では実際の投資事例、注目のエリア、日本と海外の最新動向、投資プラットフォームの比較など、より実践的な内容をお届けします。ぜひ続けてお読みください。

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