2025年度のマイホーム購入税制改正ポイント解説

マイホームの購入は、人生で最も高い買い物になることも珍しくありません。そのため、購入に当たっては物件の立地や間取り、資産性などさまざまな観点で物件の購入に踏み切るかチェックすることでしょう。
この記事では、マイホームを購入する上で理解しておくべき税制について、2025年度の「税制改正大綱」を元にポイントを絞って解説していきます。
2025年度のマイホーム税制改正の概要
2024年末に「税制改正大綱」が閣議決定されたことを受け、これまで実施されていたマイホームに関する税制が2025年度に改正されることが決まりました。
特に焦点となっていた住宅ローン控除については、控除の対象となるローン残高の上限を子育て世帯において拡充措置を2025年入居まで延長することになりました。
例えば新築住宅や買取再販住宅であれば、マイホームの入居から13年間の間に渡って、最大455万円の所得税控除が受けられるため、子育て世帯にとっては嬉しい税制と言えるでしょう。
なお、控除におけるローン残高の上限額は物件の種別によって変わってきます。特に省エネ性能が高ければ高いほど金額が高く設定されていることから、今後も省エネ性能の高い物件に対する住宅ローン控除の税制優遇が続くという見方もあります。
2025年度のマイホーム税制改正は、従来の住宅ローン控除の適用期間が1年間延長するといった小さな変更でしたが、そもそも住宅ローン控除は何度も見直しや延長が繰り返されているといった過去があります。
したがって、2026年に大きな変化がある可能性は拭えないため、子育て世帯が住宅の購入を迷っているのであれば、早めに決断した方が良い結果になる可能性もあるでしょう。
住宅ローン控除の新しい制度
あらためて、2025年度の住宅ローン控除の概要をまとめると、以下の表の通りとなります。
【新築・再販住宅の場合】
省エネ性能 | 世帯の分類 | 住宅ローン残高上限額 | 控除期間 | 最大控除額 |
認定住宅 | 子育て世帯 | 5,000万円 | 13年 | 455万円 |
上記以外 | 4,500万円 | 410万円 | ||
ZEH水準省エネ住宅 | 子育て世帯 | 4,500万円 | 410万円 | |
上記以外 | 3,500万円 | 319万円 | ||
省エネ基準適合住宅 | 子育て世帯 | 4,000万円 | 364万円 | |
上記以外 | 3,000万円 | 273万円 | ||
それ以外の住宅 | 子育て世帯 | 原則対象外 | ー | ー |
上記以外 |
【中古住宅の場合】
省エネ性能 | 住宅ローン残高上限額 | 控除期間 | 最大控除額 |
認定住宅等 | 3,000万円 | 10年 | 210万円 |
それ以外の住宅 | 2,000万円 | 140万円 |
住宅ローン控除を受けるためには、認定された物件を購入し、控除を受けようとする最初の1年目のみ、会社員であっても確定申告が必要になります。
確定申告は例年2月16日から3月15日までとなっていますので、その期間でe-Taxや郵送、税務署持参によるいずれかの方法で確定申告書類を提出しなければなりません。
必要書類として、物件の種類に限らず共通のものを挙げると以下の通りとなります。
・住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・住宅ローンの年末残高等証明書
・家屋の登記事項証明書
・工事請負契約書の写し、または、売買契約書の写し
他にも、省エネ性能を満たしている物件の場合は、その証明書類を確定申告時に添付する必要があります。どうしても分からない場合は、物件購入時に手に入れた書類を全て持って、税務署に聞きに行くのも良いでしょう。
なお、会社員の場合、2年目以降は職場の年末調整で住宅ローン控除が受けられるようになります。その際は職場からも案内があると思いますが、以下の必要書類を提出するだけでOKです。
・給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書兼住宅借入金等特別控除計算明細
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
いずれも原本を提出することになりますので、不安な人は提出前にコピーを取っておくと良いでしょう。
また、新築の認定住宅の場合は、以下の要件を満たさないと、そもそも住宅ローン控除が受けられませんので、合わせて認識しておいてください。
・床面積の2分の1以上が自分が居住するための住宅
・引渡しまたは工事完了から6カ月以内に入居し、引き続き居住している
・住宅ローンの返済期間が10年以上
・床面積が50平方メートル以上
・合計所得金額が2,000万円以下
いろいろな条件がありますが、特に住宅ローンの返済期間が残り10年以上という条件には注意が必要です。
ローンの返済が始まった後、ある程度まとまったお金ができて繰上げ返済をする場合、ローンの返済期間が10年を切ることになれば、たとえ住宅ローン控除期間が残っていても、控除対象から外れてしまいます。
これからマイホームを持とうとする場合は、繰上げ返済によるローン期間に注意することを頭に留めておいてください。