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2025/08/07 09:46

40代のリアルな貯蓄事情【前編】

40代は、仕事でも家庭でも大きな責任を担う時期。中堅社員としての重責に加え、子育てや親の介護といったライフイベントが重なり、「将来、本当に大丈夫なのだろうか?」という漠然とした不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

どれくらい貯蓄があれば安心できるのか? 周囲の同世代は実際にどれくらい貯金しているのか?
今回は40代のリアルな貯蓄事情を知り、不安解消のヒントを探ります。

 

40代の貯蓄額は?40代の「平均」と「中央値」

 

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(2023年)」によると、40代の金融資産(現金・預貯金、株式、投資信託、債券、保険など)の保有額は以下の結果が出ています。

 

40代の貯蓄額

2人以上世帯
平均:825万〜889万円
中央値:220万〜250万円

単身世帯
平均:559万〜657万円
中央値:47万〜53万円

平均を見ると「意外と貯めている」と感じますが、中央値を見ると貯蓄額が少ない世帯も多いことがわかります。特に単身世帯の中央値は50万円前後と、かなり低めです。

また、貯金ゼロの割合は、単身者で約40%、2人以上世帯でも約25%。つまり、平均値は実態を反映していないことが多いのです。

では貯蓄額の平均と中央値の差は、世帯収入の違いからきているのでしょうか?

 

 年収別の貯蓄額

 同調査から年収帯別の金融資産額を見てみます。

 

40代年収別貯蓄額 平均値と中央値

※J-FLEC【 家計の金融行動に関する世論調査(2023年)】に基づき作成(金融資産保有世帯に限る)

パーソルキャリア「doda 平均年収ランキング」によると、40代の年収中央値は約450万円。これを踏まえると、単身世帯の貯蓄中央値は本来100万円程度と予想されますが、実際は約50万円と半分にとどまっています。

年収が高いほど貯蓄も増える傾向はありますが、支出が多い40代では年収が高くても備えが十分とは限りません。

特に年収1,000万円超の世帯が平均値を押し上げていることもあり、中央値で見ると貯蓄のばらつきが顕著です。

では、40代は具体的にどのような資産を保有しているのでしょうか?


40代の種類別金融商品保有額

※J-FLEC 【 家計の金融行動に関する世論調査(2024年)】に基づき作成。全世帯対象のため、金融資産保有額が高めに算出されている。

40代の金融資産の内訳を見ると、多くの人が現金や預貯金を中心に資産を保有しています。
一方で、積立型の保険を活用して保障と貯蓄を両立している層や、株式や投資信託などに投資してリスクを取りながら資産形成を進めている人も一定数見られます。

それでもなお、現金に偏った資産構成が主流となっているのが実情です。

※なお、不動産などの実物資産はこの調査に含まれておらず、総資産を評価するには別の視点も必要です。

では世帯年収があがっても、なぜ思うように貯蓄ができていないのでしょうか。

 

「貯められない」のではなく、「貯めにくい」40代

 

40代で貯蓄が思うように進まない背景には、同時進行するライフイベントが影響しています。

教育費:子どもの学費は幼稚園から大学まで全公立で約1,000万円〜、全私立なら2,500万円以上かかるケースも。

住宅ローン:4,000万円の物件なら頭金だけで800万円が目安。返済も長期にわたります。

親の介護:介護費用は平均月8.3万円。5年続けば約500万円の出費に。(公益財団法人 生命保険文化センター参照)

これらの支出は並行して発生することも多く、40代はそもそも貯めにくい状況にあるのです。

 

 貯蓄があっても不安が消えない理由 

 

「平均以上の貯蓄があるのに不安が消えない」と感じる人が多いのは、以下のような将来に対するさまざまな不透明感が背景にあるからです。

老後の生活費がどの程度かかるのか予測しづらく、見通しが立てにくい。
公的年金制度の将来に不安があり、自分がどれだけ受け取れるのかが不明確。
医療・介護費の自己負担割合(現在は年齢により1〜3割)が将来的に増えるリスク。
インフレによる資産価値の目減り、円安の進行、法人税・消費税・年金保険料などの増税懸念。

こうした状況に加え、日本経済が悪化傾向にあることや、少子高齢化の進行による将来的な混乱への懸念もあります。

そのため、「自分の老後に本当に安心できるのか」と不安を感じるのは、ごく自然なことと言えるでしょう。

 

まとめ

 

40代で貯蓄が平均より少なくても、焦る必要はありません。しかし、何も知ろうとせず、何の対策もとらずに過ごすのは非常に危険です。

まずは自分の現状を把握し、「なぜ貯められないのか?」「何が障壁となっているのか?」を理解することが、未来の備えにつながります。

次回【後編】では、「老後にいくら必要か?」「どう備えるか?」に焦点を当て、現実的な資産形成のヒントをお届けします。

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