結婚後の資産形成の重要性

独身であれば、自分で稼いだお金を自分の好きなように使っても誰に文句を言われることはありません。
しかし、結婚をすれば話は別です。さまざまなスタイルこそありますが、多くの場合は夫婦で家計を合算し、日々の生活費や居住費を賄っていく必要があるでしょう。
お金が全てと言うつもりはないものの、一方で資産をしっかりと積み上げていける夫婦はそのぶん幸福度が高いと言われることもあります。
そこでこの記事では、結婚後の資産形成の重要性について理解を深めるべく、特に20代〜30代の夫婦が意識しておきたいポイントについて解説していきます。
結婚生活に必要な資金の把握
夫婦で資産形成に取り組む場合、まずは家計の支出を知るところから始めましょう。
総務省統計局の家計調査(2024年6月分)によると、二人以上世帯の実質消費支出の平均額は一世帯当たり280,888円となっており、内訳は以下の通りです。
単位:円
費目 |
金額 |
消費支出合計 | 280,888 |
食料 | 85,657 |
住居(設備修繕や維持) | 17,284 |
光熱・水道 | 19,439 |
家具・家事用品 | 14,729 |
被服及び履物 | 10,224 |
保健医療 | 14,944 |
交通・通信 | 40,642 |
教育 | 7,331 |
教養娯楽 | 28,771 |
その他 | 41,867 |
この金額のほか、家賃や住宅ローンといった居住費が加算されて平均的な支出額となります。まずはこの平均額よりも自分の支出がどうなっているのかを把握しましょう。
続いて認識しておきたいのが、出産や教育資金といった将来発生しうるコストです。こちらも平均値を見ていきます。
まず出産費用ですが、2022年度の全国の正常分娩費用は平均48.2万円となりますので、最低でもこの分の貯蓄がないと出産費用が賄えません。
ただし、出産費用については出産育児一時金が出産後に支給されます。金額にして50万円(2022年時点)となるため、実質的な持ち出しがないという点が特徴です。
教育資金については、公立か私立かによって異なります。日本政策金融公庫のシミュレーションをまとめると以下の通りです。
単位:万円
全て公立の場合 |
全て私立の場合 |
|
幼稚園 | 47.3 |
92.5 |
小学校 | 211.2 |
1,000 |
中学校 | 161.6 |
430.4 |
高校 | 154.3 |
315.6 |
大学 | 248.1 |
469 |
合計 | 822.5 |
2,307.5 |
公立か私立かによって大きく異なりますが、支出の特徴としてはこれらの金額が一気にかかるわけではなく、年度や月度単位で分散して支払いが必要になってくることが挙げられます。
このように、各種ライフイベントによって20代から30代の夫婦は頻繁に支出が発生しますので、日頃から貯蓄をしていくことはもちろん、資産形成をする際に当たっては必要な時に必要な金額を引き出せるような流動性の高い手法が向いていると考えられます。
資産形成に必要な生活習慣
資産形成を進めるに当たっては、まず余剰資金を作る必要があります。
余剰資金を作るためには、副業やキャリアアップなどで収入を上げる方法もありますが、今すぐに取り組める方法として、日々の節約に取り組んでみるのが良いでしょう。
20代から30代の夫婦が取り組みやすい節約のコツとしては、以下のようなものが挙げられます。
・自分の行動パターンの見直し:コンビニにすぐに行くのをやめる。給料日になるとつい洋服や趣味にお金を使ってしまう。セールだからといってECサイトで不要なものまで買い込んでしまう
・固定費を見直す:通信キャリアを格安SIMに切り替える。保険料を見直す。電気やネット回線の業者を変える
・自動振込による天引き貯金を行う:給料日に自動的に別の口座に一定金額が振り込まれるように銀行で設定する
また、節約に取り組むだけでなく、日々の収入と支出を家計簿で記録するといったことも重要な生活習慣になります。
最近ではレシートを読み取るだけで支出を管理してくれるような家計簿アプリもありますので、支出をしたらすぐに記録をつけるようにするだけで、余計な出費を抑えることができるでしょう。
このような方法で資金を捻出することで、生活を大きく切り詰めることなく、心身ともに余裕を持って資産形成に取り組んでいけるはずです。
結婚後の投資と貯金のバランス
結婚後の夫婦は、出産や育児、将来の住宅購入などさまざまな場面でお金が必要になります。加えて、月々の余剰資金も限りがあることから、積み立てによる資産形成がおすすめと言えるでしょう。
新NISAによる積み立て投資であれば、月々100円から資産形成に取り組むことができますし、必要な時に流動的に売却をして資金にすることが可能です。
また、老後を見据えた資産形成にするためにも、インデックス投資信託など長期間での運用を前提にした商品を選択するのが良いと言われています。
夫婦で協力し、無理のない範囲で資産形成と向き合ってみてください。