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2025/01/16 19:01

【資産運用の出口戦略】4%ルールの基本と実践法(前編)

年金だけで十分な生活を送れるかどうか不安視される今、資産運用をして「4%ルール」で資産を長期間維持する方法が、老後を安心して暮らす選択肢として注目されています。
投資初心者でも理解できるように、前編では4%ルールの基本的な仕組み、注目されている理由を解説し、後編は資産運用の具体例や実践法、注意点について詳しく解説します。


「4%ルール」とは?
 

4%ルールとは、年間支出の25倍の資産を築けば、年利4%の運用益で生活費をまかなえるという考え方です。
4%という数字は、米国のS&P株の成長率7%から、アメリカのインフレ率3%を差し引いて計算された数値です。
ですが日本のインフレ率は目標を2%と設定しながらも、現状は1%にも満たないため、「4%ルール」を日本版に置き換えるなら「5〜6%ルール」といえるでしょう。
5%〜6%の運用益が期待できるとなれば、「年間支出の17〜20倍の資産」を築けば、セミリタイアしても生活が成り立つことになります。

またこのルールには手数料や税金が含まれていないため、これらは別に計算する必要があります。


4%ルールの種類
 

4%ルールには、「引退時の資産×4%」の定額取り崩しと「毎年の資産残高×4%」の定率取り崩しの2種類があります。


「引退時の資産×4%」の定額取り崩し
 

引退時の資産残高×4%に相当する金額を、定額で取り崩していく出口戦略です。


メリットとデメリット
 

メリットは金額が決まっているので、いくら取り崩せば良いか計算する手間が省け、一定の生活水準を保つことができます。
一方デメリットは、相場の状態によっては資産を多く取り崩してしまう事態になることです。
下落相場や暴落局面が続くと、基準価格より安い値段で多く取り崩してしまうことになります。
そうすると資産の寿命を短くし、当初に予定していた期間よりも、早く尽きてしまう可能性が否定できません。

 

「毎年の資産残高×4%」の定率取り崩し
 

毎年の資産残高×4%に相当する金額を定率で取り崩していく出口戦略です。 


メリットとデメリット
 

メリットは、定額取り崩しのデメリットである資産の基準価格が安い時に、多く売却してしまうというリスクを回避できる点です。
定額切り崩しと比較して、資産の寿命をより延ばして長く維持する可能性が高くなります。
一方デメリットは、資産の残高が減ると取り崩せる換金額が減少するため、年を追うごとに、受け取れる金額は少なくなっていきます。
また定額取り崩しと異なり、毎年決まった額を使うことはできません。

 

4%ルールが注目される理由
 

資産運用の出口戦略としてなぜ4%ルールが注目されるのか、理由を探ります。
老後の生活費を計画的に確保
厚生労働省の2023年データによると、男性の平均寿命は81.05年、女性の平均寿命は87.09年と年々延びているため、引退後の生活期間が長くなることが予想されています。
4%ルールは長期間にわたる資産管理をシンプルに考えるためのフレームワークであり、資産運用の成功により、さらに長期にわたって生活を支えてくれる可能性があります。


インフレへの対応
 

現代の経済では、物価が年々上昇するインフレを避けられません。
現金をそのまま保有していると価値が目減りしますが、4%ルールではそもそもインフレ率を考慮して切り崩しを行います。
また、物価上昇に合わせて価格上昇が期待できる金融資産や実物資産をポートフォリオに組み込んでおくと、より安心です。
株式や不動産は、インフレに伴って価格が上昇する傾向にあり、コモディティ(エネルギー、金など貴金属、穀物等)はインフレ時に価値が上がりやすい特徴があります。


4%ルール成功の鍵
 

ルールを成功させるための、準備や心構えについて知っておきましょう。


分散投資でリスクを軽減

 

4%ルールを前提とするポートフォリオでは、株式(50~60%)と債券(40〜50%)を保有することを推奨しています。これは株価が下がると、債券の価格が上昇する傾向があるからです。
この分散投資により、市場の上下動に対するリスクを抑えながら、安定したリターンを狙えます。


長期的視点での運用
 

資産運用は短期間での利益を追求するものではなく、福利効果で雪だるま式に増えていく資産から、長期間で安定的なリターンを得ることが重要です。
特に4%ルールでは、30年以上の運用を想定しているため、短期的な市場の変動に惑わされず、冷静に運用を続けることが求められます。

 

まとめ
 

4%ルールは老後の生活費を計画的に確保し、資産を長期間維持するための強力な指針とはいえ、4%ルールが万能ではない点にも注意が必要です。
次回の後編では、4%ルールを日常生活に取り入れる実践法や、資産ポートフォリオの構築、さらには想定される課題への対策まで、あなた自身の生活に応用するヒントを提供します。ぜひお楽しみに!

 


 

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