これからのトレンドは?都心と郊外の変化を探る

コロナ禍を経てリモートワークの普及や生活様式の変化により、人々の住まいに対する考え方が大きく変わりました。
都心と郊外の不動産に対する需要や価値の変化は、今後どう変化していくのでしょうか?
これからの不動産トレンドについて、都心と郊外の視点から詳しく探っていきます。
都心の不動産トレンド
1. 都心回帰の再燃
コロナの影響でワークスタイルが変化し、リモートワークの普及により「脱都心」が話題となりました。
東京都ではコロナ渦の2020年に転出者が転入者を上回るという”転出超過”の状態もみられましたが、1年を通してみると「脱都心」の間でさえ東京都の人口が減少しなかったことが、総務省のデータでわかりました。
2022年には都心回帰の動きも見られ、コロナ前の2019年よりも東京都の人口が増えている結果となり現在も人口増加が続いています。
東京23区では2015年時点で927万人ですが、2030年には979万人に増加する見込みです。
またリモートワークの定着とはいえ出社の必要性がゼロになったわけではなく、通勤時間を短縮できる都心の利便性が再評価されています。
三菱地所リアルエステートサービスが2024年2月末の時点で東京主要5区(千代田区、新宿区、渋谷区、品川区、中央区)の大規模オフィスビルの空室率が、5%台と低水準に保たれていると発表し、都心部のオフィス需要の安定が見受けられました。
2. コンパクトシティの進展
都心部や主要な副都心(新宿、渋谷、池袋など)では、限られた土地を有効活用するために「コンパクトシティ」構想のための再開発プロジェクトが進行中です。
これは高層ビルや複合施設の建設を進めて、商業、オフィス、居住、文化施設などが一体化されたエリアを形成する目的です。これにより、日常生活に必要な機能が徒歩圏内で揃うようになります。
このようなエリアでは車に依存せずに生活できるため、移動の利便性が向上し高齢者や子育て世帯にとって魅力的な選択肢となっています。
今後こうしたエリアは不動産価値が高まり、需要が増加することが予想できるでしょう。
3. マンションの需要増加
都心部では、マンションに対する需要が引き続き増加しています。
東京都の新築マンション価格はコロナ前の2018年から5年間で約13%、中古マンションの価格は31.3%も上昇しています。

ファミリー層や若年層において、教育機関や医療機関、商業施設へのアクセスが良い都心部のマンションに対する需要が高く、特に高級なタワーマンションやデザイン性の高い物件は、資産価値の維持が期待できるため、投資目的で購入する人々も少なくありません。
不動産投資では出口戦略として、売却のしやすさも重要ですのでその点でも郊外より都心は有利だと言えます。
郊外の不動産トレンド
1. リモートワークの普及による郊外移住
コロナ禍をきっかけにリモートワークが急速に普及したことで、都心から郊外への移住を考える人が増加しました。
広い居住空間や自然環境を求める層が増え、郊外の一戸建て住宅や広いマンションに対する需要が高い状況です。
コロナ後も都心へのアクセスが良い郊外の物件は人気があり、価格も上昇傾向にあります。
2. 郊外での新たな生活スタイル
郊外での生活スタイルも変化しています。従来の「静かな住宅地」ではなく、カフェやレストラン、スポーツジムなどの商業施設が増え、より都市的な生活が楽しめるエリアが増加しています。
コミュニティガーデンやシェアオフィスなど、住民同士が交流できる場も増えていることから、郊外での生活がより魅力的なものとなり、今後も郊外物件の人気が続くでしょう。
3. 郊外型のコンパクトシティの進化
郊外でもコンパクトシティ化が進んでいます。
特に都心から少し離れたベッドタウンでは、ショッピングモールや医療施設、教育機関が集まるエリアの開発が進行中です。
都心と郊外の融合
これからの不動産トレンドは都心と郊外の特徴が融合するような、新しい生活様式が注目されています。

都心へのアクセスのよい郊外や、都心に住みながらも自然を感じられる不動産は今後も需要が高まるでしょう。
まとめ
これからの不動産トレンドは多様化と個別化が進む中で、都心と郊外の境界が曖昧になり、各エリアが持つ特徴が融合する方向へと進んでいくでしょう。
従来の「都心か郊外か」という二択だけでなく、個々のニーズに応じた新しい選択肢が登場しています。
自分にとって最適な住まいや投資物件を見つけるためには、これからの不動産トレンドをよく理解し、都心と郊外の双方の魅力と課題をしっかりと把握することが重要です。