中年世代のためのiDeCo入門:老後に向けた賢い投資の始め方

2024年の1月に厚生労働省がiDeCoに加入できる年齢の上限を「65歳未満」から「70歳未満」に引き上げる方針を示しました。
政府としては公的年金だけに頼らず、制度を活用し自身で老後資金を積み立てるよう国民に求めています。
若いときに存在しなかった制度を活用することになる中年世代たちにとって、iDeCo(個人型確定拠出年金)や新NISAなどの制度は必要なのでしょうか?
この記事では中年世代に向けたiDeCoの基本的な概要や、メリット・デメリット、新NISAとの違いについて詳しく解説します。
iDeCoとは?
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは自分で積み立てた掛け金を元に、将来受け取る年金を作るための制度です。
掛け金を投資信託や定期預金、保険商品などの運用商品に投資します。
その運用成果によって最終的な受け取り金額が決まるため、受取額は運用状況によって増減するので注意が必要です。
自分で運用先を選ぶため投資の知識や判断力が求められますが、その一方で節税効果や長期投資で複利の効果が得やすいのも特徴です。
掛け金の上限額は職業や勤め先の企業年金制度の有無によって異なりますが、一般的に毎月の掛け金は5,000円から最大23,000円(自営業者の場合は最大68,000円)まで選択できます。
中年世代から始めるiDeCoのメリットとデメリット
若い世代であれば長期運用で運用益が大きくなるため、メリットが大きい印象がありますが、すでに中年にさしかかっている人々にとってiDeCoは必要でしょうか?
中年から始めるiDeCoのメリット・デメリットについて考察してみましょう。
中年世代から始めるiDeCoのメリット
1.所得控除による節税効果
中年からの最大のメリットは、掛け金が全額所得控除の対象となる点です。
年収が高くなる傾向の中年世代にとって、所得税や住民税の負担が軽減されることになります。
運用益が非課税
投資による利益には約20%の税金がかかりますが、iDeCoは非課税です。そのため資産が効率的に増加することが期待できます。
2.継続的な資産形成が可能
中年から始めても定年までの約10~20年間を活用して運用することで、リスクを抑えた資産形成が可能です。
また一部例外を除いて、原則的に解約や60歳まで引き出しができないため、積み立てた資金がロックされて老後まで安心して持ち続けることができます。
中年世代から始めるiDeCoのデメリット
1.運用期間が短い
運用期間が若い世代と比べ短くなるため、資産が大きく増加しにくい場合があります。
投資の知識をつけ多少リスクの高い運用の選択や、60歳以降も投資を継続するなどライフプランに合った運用が必要となるでしょう。
2.資金の流動性が低い
iDeCoで積み立てた資金は60歳になるまで引き出すことができません。
学費や病気などの急な出費に対応できない可能性があるため、流動性のある他の資産とバランスを取ることが重要です。
以上のようなメリット、デメリットをふまえてもiDeCoを利用することで自分で資産を管理・運用する意識が高まります。
老後に向けた資金計画を立てて、今から備えておきましょう。
iDeCoと新NISAの違い
iDeCoと新NISAは、どちらも税制優遇を受けながら資産形成を行うための制度ですが、目的や運用方法に違いがあります。
違いを知りどちらが自分の資産形成に合っているのか、考えを深めてみましょう。
1.目的の違い
iDeCo:老後資金の準備を目的とした年金制度。現状65歳まで(※条件あり)加入が可能で、運用は75歳まで。受け取りは60歳以降で、原則解約はできない。
新NISA:資産運用の浸透を目的とした制度。運用期間や年齢に縛りはない。
2.資金の引き出し
iDeCo:60歳以降まで原則引き出し不可。
新NISA:いつでも引き出しが可能。
3.税制優遇の違い
iDeCo:掛け金が全額所得控除の対象となるが、受け取り時に課税がされることがあるため、退職金や他の年金と重なる場合注意が必要。
新NISA:運用益が非課税なのはiDeCoと同様。掛け金そのものに対する税制優遇はない。
4.運用商品の違い
iDeCo:投資信託や定期預金などの限られた商品から選択する。
新NISA:株式、投資信託、ETFなど、幅広い運用商品が選べる。
5.掛け金の違い
iDeCo:毎月5,000円から最大23,000円(自営業者の場合は最大68,000円)
※勤め先などにより条件が異なる。
掛け金の変更は年一回。
新NISA:つみたて投資枠で年間120万円。成長投資枠で年間240万円と枠によって金額の違いがあり、合計で年間360万円非課税での投資が可能。
生涯の投資可能総額に制限があり、1,800万円まで。
結論
中年世代にとって、iDeCoは老後資金を計画的に積み立てるための有力な手段です。
将来の安心を支える大きな一歩となるように、NISAとの違いを理解しiDeCoのメリットを活かせる資産形成を思索していきましょう。