東京都心6区の中古マンション価格、上昇トレンドの理由とは?

東京都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、渋谷区)における中古マンションの価格は2023年に入っても上昇トレンドが続き、2024年7月までの18ヶ月間で連続して価格が上昇しています。
この現象はなぜ起こっているのでしょうか?
東京都心6区の中古マンション価格が上昇し続けている理由を探り、未来予測に役立てましょう。
中古マンションの価格上昇が止まらない理由
東京都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、渋谷区)の2024年7月の中古マンション平均希望売り出し価格が1億2276万円と、初めて1億2000万円を突破した前月と比べてさらに1.8%上昇したと、不動産調査会社の東京カンテイ(東京・品川)が8月22日発表しました。
このようなことが起きている理由として、5つのことが考えられます。
1. 供給不足が引き起こす価格上昇
最も大きな要因として考えられるのが供給不足です。ではなぜ供給不足が起きているのでしょうか?
新築物件の建設が制限…東京都心6区においては、すでに高密度で開発されているため新たな土地の確保が難しい状況です。
他にも建設コストの増加、厳しい建築規制、住民や地域の再開発への反対運動もあり、既存の建物を取り壊して再開発することは簡単ではありません。
既存住民の現住傾向が強化…生活インフラの整備やリノベーション市場の増加により、資産価値の安定している都心部に住み続ける傾向が強まっています。
中古マンションオーナーの売り控え…東京カンテイの発表で2024年7月の流通戸数は都心6区で2989戸、東京23区で1万2634戸とそれぞれ5ヶ月連続で減少したことがわかりました。背景として相場高の状況で売り時を見計らう物件オーナー側の、売り控えがあると考えられます。
このような供給の減少により、中古マンションの価格上昇が起きているといえるでしょう。
2. 高い需要と購入意欲
供給が限られている一方で、需要は依然として高い状況です。
東京都心6区は仕事や生活の利便性を求める層にとって、非常に人気が高いエリアです。
現代のタイムパフォーマンスを重視する傾向の中で、通勤時間の短縮やオフィスに近い場所での居住の需要性が高まっています。また若年層や子育て世代にとって、都心部での居住は生活の質を向上させる重要な要素といえるでしょう。
3. 外国人投資家の参入
事業用不動産サービスを展開するCBRE株式会社が発表した「2022年第3.4半期の日本投資市場動向」によると、海外投資家による投資額は、2019年第3.4半期比で360%になったと2022年11月11日に公表しました。
さらに東京オリンピックが開催されたことから、東京の不動産市場に対する国際的な注目が一段と高まり、今後も外国人投資家から注目を浴びるでしょう。
4. インフレと金利の影響
物価上昇の中で、資産価値を守るために不動産に投資する動きが強まっています。東京都心部のマンションはその資産価値が安定しており、インフレに対する防衛策としても有効です。
金利の動向も注目されていますが、日本の住宅ローン金利は依然として低水準にあるため、この状況が続く限り、マンション購入に対する意欲は衰えないと考えられるでしょう。
5. 新たな資産価値の発見
リノベーション住宅の発展と増加により、中古マンションでも新築物件に劣らない魅力を持つ物件が増えています。
ただしリノベーション物件は元々の物件価格にプラスして、リノベーション費用が上乗せされるため、価格が高騰する要因の一つとなっています。
他にも環境意識の高まりにより、エコや省エネルギー性能を重視した付加価値の高い物件が都心には多く存在し、それらが市場全体の価格を押し上げる要因になっているともいえるでしょう。
ですが、この上昇トレンドは今後も続くのでしょうか?
今後の展望とリスク
このような要因により東京都心6区の中古マンション価格は引き続き高止まりか、さらに上昇する可能性が高いと考えられますが、リスクは存在するのでしょうか?
予想されるリスクについて知っておきましょう。
急激な金利上昇…住宅ローンの負担が増加し、購入意欲が減退する可能性。
世界経済の不安定化…大規模な自然災害の発生や、世界恐慌が起きる可能性。
不動産バブルの崩壊…行き過ぎた不動産価格の高騰を抑えるために、国が融資の引き締めを行うことで市場価格が急落し、多くの投資家や購入者が損失を被る可能性。
以上のようなリスクが考えられるため、今後の市場動向を慎重に見守る必要があります。
まとめ
東京都心6区の中古マンション価格が連続して上昇している背景をみると、都心の不動産市場は今後も活発な動きを見せることが予想されます。
しかし同時にリスクも存在するため、現状の価格上昇トレンドがどこまで続くのか、そしてそのリスクをどのように管理するかをしっかりと見極めることが重要です。
市場の動向をしっかりと把握し、自分自身の資産戦略を立てることが、成功の鍵となるでしょう。