マガジン

makeA事務局
2024/08/22 19:02

日本の金融リテラシーの現状と向上への道

日本の金融リテラシーは低いといわれていますが、実際はどうなのでしょうか?
2022年に金融広報中央委員会が実施した「金融リテラシー調査」によると、『金融教育を受ける機会はありましたか』という問いに「受ける機会があり、自分は受けた」と回答した人の割合は、わずか7.1%だったという結果となりました。
そもそも金融リテラシーとは何なのか?海外と比べて日本の金融教育は進んでいるのか。
金融リテラシーが低いと、未来にどんな影響があるのか考察してみましょう。


金融リテラシーとは何か
 

一般的に金融リテラシーとは、個人が金融に関する情報や知識を理解し、それを日常生活や投資などの意思決定に活用する能力です。
この能力は、資産形成、投資、借金、保険、税金など、幅広いお金の分野に活かされます。
金融リテラシーが高いと自分の経済状況を正しく評価し、適切な金融商品を選択することができるため、長期的な経済的安定を確保しやすくなります。
では金融リテラシーが低いと、どんな影響が起こりえるでしょうか?
 

金融リテラシーが低いことのデメリット
 

これまで金融教育を受けていないからといって、そのままにしておくと以下のようなデメリットが考えられます。

  • 詐欺や不適切な投資に巻き込まれる危険性が高まる
  • 高金利のローンやリボ払いに依存し、借金の管理が不適切になる
  • 緊急時や老後の資金不足
  • 予算管理ができず収支のバランスがとれない
  • インフレ対策ができない
  • 税金の対策不足
     

他にもデメリットが考えられますが、いずれも金融知識の不足から生じています。
金融リテラシーが低いことは、個人の経済的な自立や安定を脅かすだけでなく、社会全体の経済的健全性にも影響を及ぼす可能性があります。
長期的な資産形成や経済的安定のために、金融リテラシーを高めていきましょう。


日本と海外の金融リテラシーの違い
 

2014年に実施された国際的な調査「S&Pグローバル金融リテラシー調査」によれば、日本の金融リテラシー率は43%なのに対し、北欧諸国やオーストラリア、カナダなどでは60%を超える高い金融リテラシー率が報告されています。
このように海外と比べてみると日本人の金融リテラシーは、他の先進国と比較しても特に低いと考えられます。
この背景として日本の金融教育が学校教育の中で、十分に行われていないことが挙げられます。他国と日本の金融教育について比べてみましょう。


1.日本の金融教育
 

学習指導要領が改訂され、2021年から中学校、2022年から高等学校で「資産形成」の分野を中心に本格的な金融経済教育がスタートした。


2.アメリカの金融教育
 

2001年に新たな教育改革法が制定され、金融経済教育が学校教育の特別奨励分野の一つに指定。
2003年には「金融リテラシー教育改善法 (Financial Literacy and Education Improvement Act(FLEI法))」の制定により、金融経済教育の質・米国民の金融リテラシーの向上を任務とする「金融リテラシー教育機関(FLEC)」が設置された。
 

3.イギリスの金融教育
 

2014年にイングランドで、11歳から16歳までの生徒に対する数学と公民教育の一部として金融教育が必修となった。

以上のように日本での金融教育は近年に始まったことで、他国と比べ遅いスタートであることがわかります。
他にも日本ではお金に関する話題を避ける文化が根付いており、金融に関する話をする機会が少ないことや、高金利だったバブル時代の貯蓄志向の強さもあり、日本人の金融リテラシーは停滞してしまいました。


金融リテラシー向上への道

日本の金融リテラシーを向上させるためには、どのような取り組みが必要でしょうか。

  • 学校教育における金融教育の強化
  • 金融商品の単純化
  • 政府主体の金融教育に対する政策
  • 金融への自己責任の意識


学校や政府に期待するだけでなく、自身でもインターネットや図書館を活用して金融に関する情報を収集し、学ぶことが重要です。
「お金の話はタブー」という日本の文化的背景は薄れ、今後は家族や友人と金融について話し合い、互いの知識を共有することで金融リテラシーを高めていくことが必要になるでしょう。


まとめ
 

日本の金融リテラシーは、他の先進国と比較しても低い水準にあります。
政府や学校でも金融リテラシーの向上に取り組んでいますが、まずは自身の身近な分野のお金の知識から学び、金融リテラシーを高めていきましょう。

いいね