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2025/08/26 09:07

2025年の日本における投資現状【前編】

2025年、日本では「貯蓄から投資へ」の流れがますます加速しています。

新NISA制度の導入を背景に、個人の資産運用に対する関心が高まり、これまでの預貯金中心の家計から脱却が進みつつあります。

本記事では投資人口の拡大要因や、投資対象の変化。そして現在の投資トレンドについて詳しく解説します。

 

投資人口が増えた背景

 

日本証券業協会の調査によると、株式・投資信託・公社債などの有価証券を保有している人の割合は、2021年の19.6%から2024年には24.1%へと、4.5ポイント上昇しました。

この変化に関係する要因をみていきましょう。

 

新NISA制度の導入(2024年)

 

2014年に導入されたNISA・つみたてNISAに続き2024年から「新NISA」がスタートし、制度の拡充によって投資への関心がさらに高まりました。

 

2024年新NISAの成果

2024年のNISA買付額:17.4兆円(前年の5.2兆円から約3.3倍。)
2024年のNISA口座の新規開設数:434万口座(前年の324万口座から1.3倍。)→ 総口座数は2,559万口座に到達。

 

旧制度と新制度の比較

 

一般NISA:年間投資上限は122万円。非課税期間は5年間。

つみたてNISA:年間投資上限は40万円。非課税期間は20年間 。

新NISA :年間投資上限は成長枠240万円/つみたて枠120万円。(合計360万円)非課税期間は無期限。(生涯上限1,800万円)

※なお、つみたてNISAから新NISAへの移行は自動で行われますが、旧制度で購入した商品は新NISAにロールオーバーされません。非課税期間終了後は課税口座への移管または売却が必要です。

 

若年層の投資参加が活発に

 

日本証券業協会の調査によると、日本全国の20歳以上の有価証券保有者へのアンケートで20〜30代の新NISA口座開設率は76.9%に達し、40代(68.4%)、50代(61.9%)と比較しても特に高いことがわかっています。若年層にとって投資がより「身近で当たり前の選択肢」となりつつあります。

 

出典元:日本証券業協会「個人投資家の証券投資に関する意識調査」

 

● SNS・YouTubeの影響

 

SNSやYouTubeでは、個人投資家やインフルエンサーが自身の投資体験を発信しています。特にS&P500など米国株の上昇で含み益を得た体験談が拡散され、「投資=難しい」というイメージが変化してきました。こうしたリアルな声が、投資未経験者の心理的ハードルを下げる要因となっています。

 

● 政府・金融庁の後押し

 

金融庁HPによると政府は「資産所得倍増プラン」を掲げ、以下の目標を進めています。

NISA口座数を5年間で1,700万→3,400万へ倍増。
NISA買付額を28兆円→56兆円へ倍増。
家計による投資額(株・投信・債券等)全体の増加を通じて、資産所得自体の倍増を目指す。

さらに金融庁は分散投資の重要性や、金融リテラシー向上のための啓発活動も強化しています。

 

投資内容の変化と商品選択の傾向

 

投資人口の増加に伴い、投資対象の商品や選び方にも明確な変化が見られています。

2024年の「証券投資に関する全国調査」(日本証券業協会)によれば、有価証券保有率は24.1%に達しました。

その中でも特に注目されているのが、インデックス投資(投資信託・ETF)の普及です。

新NISAの成長投資枠における買付金額の内訳は、投資信託が52.3%、上場株式が43.5%という結果となっており、インデックス型投資信託やETFが広く選ばれていることがわかります。

信託報酬が低く、投資対象が明確で透明性が高いことから人気が高まっているETF(上場投資信託)や、比較的リスクが抑えられたインデックス投資が初心者層に支持されており、将来的にもこの傾向は続くと見られます。

 

投資の目的と今のトレンド

 

かつては住宅購入や老後資金など、大きなライフイベントのための資産形成が主な目的でしたが、近年は以下のような多様な目的が挙げられます。

 

  • 長期的な資産形成
  • 老後資金の備え(NISA・iDeCoの活用)
  • FIRE(早期リタイア)
  • 社会課題や環境問題への関心(ESG投資)
  • インフレ対策
  • 仮想通貨・REIT・オルタナティブ投資などへの分散投資

 

こうした変化の背景には、金融教育の普及や情報技術の発展、さらには社会情勢の変化などが影響しています。

 

まとめ

 

新NISAやネット証券の普及により、日本の投資環境はかつてないほど開かれたものになっています。

そして投資に踏み出す層は、以前の中高年世代だけでなく若年層まで、広い世代が投資に取り組み始めています。

後編では、開かれた投資環境にもかかわらず、海外と比較して日本で投資が進まない心理的要因や、金融リテラシー向上の課題。さらには資産格差との関係についても深掘りしていきます。

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