サイバーセキュリティ株の今後の見通しを考察

昨今の日本では、あらゆる場面でサイバー攻撃による情報漏洩事故のニュースが頻発しています。その結果、法人・個人を問わず、一人ひとりのサイバーセキュリティ意識が急速に高まってきています。
そんなサイバーセキュリティを主事業としている企業の株価について、市場動向や成長予測が気になっている方も少なくないのではないでしょうか?
今回は、サイバーセキュリティ株の今後の見通しと題し、投資対象として検討する上で知っておきたいことや予測について考察していきます。
サイバーセキュリティ市場の動向と成長予測
投資の世界におけるサイバーセキュリティ市場とは、文字通りサイバーセキュリティを生業とする企業の個別銘柄を総称した意味となります。
具体的に言えば、コンピュータウイルスからPCを守るソフトウェアや、外部からの不正アクセスを防止する仕組みを構築・導入している会社が挙げられます。
総務省が発表している「令和6年情報通信白書※1」によれば、世界のサイバーセキュリティ市場の売上高は2019年から右肩上がりで増加しており、毎年10%以上の安定した成長率を誇っています。
また、日本国内においても情報セキュリティ市場は増加傾向にあります。
NPO法人日本ネットワークセキュリティ協会が2024年に公表した「国内情報セキュリティ市場2023年度調査報告」では、2024年の国内セキュリティ市場の見通しは前年度8.0%成長の1兆7,123億円※2とされています。
サイバーセキュリティ市場は、ネットワークが発達し続ける限り、その成長は止まらないという見方をされることもあります。投資対象として魅力を感じる投資家が多いことも頷けるのではないでしょうか。
サイバーセキュリティ投資のリスクと課題
今や全ての会社は、自社のサイバーセキュリティ対策に対し、積極的な投資をせざるを得ない状況にあると言っても過言ではありません。
もし仮に、とある企業がサイバーセキュリティ対策を軽んじ、サイバー攻撃を受けた場合、以下のようなリスクがあると考えられます。
- 顧客情報の漏えい
- 会社のブランドイメージの失墜
- 通常業務不能による売上への直影響
- 世論やマスコミ対応による工数増加
サイバーセキュリティ対策を怠れば、自社は当然のこと、自社と取引を行う顧客にも影響が波及してしまいます。
したがって、健全な経営を守るためには、サイバーセキュリティ対策が非常に重要であることが言えます。
また、サイバーセキュリティ対策は守りだけでなく、顧客満足度を高めるような「攻め」にも活用されているとも言われています。
株式会社アクトが2024年2月に実施した調査※3によれば、セキュリティ年間投資額500万円以上の企業の7割が、直近3年間の事業成長率も100%を超えるという結果が出ています。
つまり、サイバーセキュリティ対策は事業戦略上重要な位置付けとされているとも捉えられます。
一方、年々巧妙化されているサイバー攻撃に対する対策において、企業が支払うコストも引き上がっているといった課題も見られます。
注目のサイバーセキュリティ銘柄と本命選定
サイバーセキュリティ事業は、国内においても様々な投資対象が考えられます。
ここでは、あくまでも情報提供の一環としていくつか具体的な銘柄を取り上げてご紹介します。
バフェットコード株式会社が公表している、国内サイバーセキュリティ業界の売上高ランキング※4をまとめると、以下の通りとなります。
順位 |
社名 |
1位 |
日立製作所 |
2位 |
ソフトバンク |
3位 |
KDDI |
4位 |
富士通 |
5位 |
日本電気 |
6位 |
セコム |
7位 |
トレンドマイクロ |
8位 |
SDテクノロジー |
9位 |
ラック |
10位 |
ソリトンシステムズ |
(2024年11月現在)
このように売上高のランキングを見てみると、SIerとしても業績を上げているような日立製作所や富士通といった大手家電メーカーが上位にいることが分かります。
サイバーセキュリティ対策は主に法人が取り組む経営課題ですが、自社のハードウェア(PC)を法人導入するに当たり、合わせてセキュリティ周りのサポートもすることで業績を伸ばしていると推測できます。
投資の基本は分散投資です。
サイバーセキュリティ市場は今後も成長を続ける推測ができますが、事業としてセキュリティ以外にも取り組む会社に投資した方が分散効果は得られるとも捉えられますので、投資選定の際に役立ててみてください。
今後のサイバーセキュリティ分野の展望
Chat-GPTなどのAIを始め、これからもネットワークサービスは成長を続けていくことが推測できます。
それと同時に、サイバーセキュリティ分野は目まぐるしい成長を続けることを複数のエコノミストは提言しています。
今後も技術革新が続き、さらにサイバーセキュリティの重要性が増していくと考える投資家の方は、サイバーセキュリティ業界への将来性に投資してみても良いかもしれません。
※1 令和6年情報通信白書